社会 第4章
資料問題
要点編
表・グラフ・史料の読み取り
ここは参考書パート(要点編)です。市販参考書と同じく「読んで理解 → 例題で流れを追う → チェック」の順で進めてください。理解チェックができたら問題編へ。
① この章のねらい
資料読解では、グラフや地図から直接読める事実と、その事実から考えられることを区別する。題名、対象年、地域、単位、出典を見ない読み取りは根拠にならない。比較では同じ基準で数値を扱い、割合と実数を混同しない。記述は「資料の事実→比較→理由や影響」の順に組み立てる。
- 資料の基本情報を確認できる
- 表・グラフの種類を見分けられる
- 割合と実数を区別できる
- 増減率と構成比を計算できる
- 地図の凡例と分布を読める
- 複数資料を根拠付きで関連付けられる
- 資料から言えないことを判断できる
② 重要ポイント(本文)
1.資料の基本確認
資料を読んだら題名、出典、対象地域、対象年、単位を確認する。同じ「人口」でも人数、割合、指数では意味が異なる。設問が何を比較させたいかを最後に確認する。
2.表の読み方
表では行と列の見出しを先に読む。合計、内訳、割合のどれかを区別する。最大・最小だけでなく、平均との差や変化も見る。
3.棒グラフ
棒グラフは量の比較に向く。縦軸が0から始まらない場合、見た目の差が強調されることがある。目盛りと単位を使って実際の数値を読む。
4.折れ線グラフ
折れ線グラフは時間による変化を読むのに向く。始点と終点だけでなく、増減の転換点や変化の速さを見る。複数線は凡例を確認してから比べる。
5.円グラフと帯グラフ
円グラフと帯グラフは全体に占める割合を表す。割合が増えても総数が減れば実数は減ることがある。構成比と実数の資料を組み合わせて判断する。
6.増減率
増減率は元の値を基準にした変化の割合である。同じ10の増加でも、元が100と1000では意味が異なる。分母は古い値または基準値にする。
7.指数
指数はある年や値を100として変化を比べる表し方である。異なる種類の量でも変化の大きさを比べやすい。実数そのものを示す数値ではない。
8.地図資料
分布図は凡例、色の濃淡、記号の大きさを確認する。偏りを見つけたら、気候、資源、人口、交通などの条件と結び付ける。地図にない原因は断定せず「考えられる」と表現する。
9.複数資料の比較
資料AとBは年、地域、単位がそろうか確認してから比較する。一方の資料で事実を示し、他方で背景や結果を補う。相関があっても、ただちに因果関係とはいえない。
10.記述の組み立て
記述はまず資料から直接読める数値や傾向を書く。次に別の地域・時期と比較する。最後に資料や既習事項を根拠に理由・影響を述べる。
11.資料の信頼性
資料の数値や図は、誰がどの方法で集めたかによって意味が変わる。調査対象や標本の選び方に偏りがあれば、全体の傾向を正確に表さないことがある。出典と調査時点を確認して利用範囲を判断する。信頼できそうという印象だけで資料を採用しない。
12.地図と統計の接続
地図で見つけた地域差を、統計で数量として確かめることができる。逆に統計の差を、地形、交通、人口分布の地図で説明できる。二つの資料の対象年が近いかを確認する。地域差の理由は複数の条件を挙げ、根拠の強さを区別する。
13.記述答案の改善
資料問題の記述は、問いに対する結論を最初に置くと明確になる。次に資料から読み取れる数値・比較を根拠として示す。最後に既習事項を用いて背景や影響を説明する。一文に複数の主張を詰め込みすぎず、主語と対象を明らかにする。
14.誤読の点検
グラフの線が交わる時点や、急な増減がある時点は読み違えが起こりやすい。百分率の差と人数の差は別に計算する。地図の濃淡は階級区分によって見え方が変わることがある。答案を書く前に、資料にないことを断定していないか確認する。
③ 公式・用語
| 名称 | 内容 | メモ |
|---|---|---|
| 構成比 | 部分 ÷ 全体 × 100 | % |
| 増減率 | (新しい値 − 古い値) ÷ 古い値 × 100 | % |
| 平均との差 | 値 − 平均値 | — |
| 指数 | 基準年・基準値を100とした相対値 | — |
| 人口密度 | 人口 ÷ 面積 | 人/km² |
用語集
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 出典 | 資料を作成・公表した機関や書物。 |
| 構成比 | 全体に占める部分の割合。 |
| 実数 | 人数や金額など実際の量。 |
| 増減率 | 基準値に対する増減の割合。 |
| 指数 | 基準を100とした変化の値。 |
| 凡例 | 地図記号や色の意味を示す説明。 |
| 相関 | 二つの事柄がともに変化する関係。 |
| 因果関係 | 一方が原因となり他方が結果となる関係。 |
| 標本 | 全体を調べるために取り出した一部。 |
| 中央値 | 順に並べたとき中央に位置する値。 |
| 一次資料 | 出来事の当事者や同時代に作られた資料。 |
④ 解法・読み方の手順
資料読解の手順
- 題名・年・地域・単位・出典に印を付ける。
- 最大・最小・増減・特徴的な差を数値で読む。
- 直接読める事実と理由の推測を分けて書く。
グラフ計算の手順
- 求めるのが割合・差・増減率か決める。
- 分子と分母を式に書く。
- 単位と百分率を確認して答える。
複数資料記述の手順
- 資料Aの事実を具体的に述べる。
- 資料Bとの共通点・相違点を比較する。
- 資料に基づく範囲で理由を表現する。
根拠付き記述の手順
- 問いの対象・時期・地域を確認する。
- 資料から直接読める数値や事実を一つ示す。
- 比較と既習事項を使い、断定の強さを調整して結論を書く。
資料読解の確認手順
- 題名・年・地域・単位を答案の根拠に使う。
- 構成比と実数を別々に計算して照合する。
- 読み取れる事実と背景の推測を一文ずつ分ける。
- 相関があっても因果を断定しない表現にする。
⑤ 図解
資料の確認順:題名 → 年 → 地域 → 単位 → 出典 → 軸・凡例 数値を読む前に条件をそろえる。
全体100人中、部分25人 構成比 = 25÷100×100 = 25%
事実「Aは増加」→ 比較「Bより大きい」 → 推測「交通条件が関係すると考えられる」
⑥ 例題(読んで流れを追う)
ここは「解く」より「途中式と根拠を追う」ための例です。演習は問題編で。
人口が100万人から110万人になった。増加率を求めなさい。
考え方・途中式
(110−100)÷100×100=10。基準は古い100万人。
答え:10%
全体200人のうち50人が賛成した。構成比を求めなさい。
考え方・途中式
50÷200×100=25。全体を分母にする。
答え:25%
A市は人口120万人・面積300km²である。人口密度を求めなさい。
考え方・途中式
人口密度=1200000÷300=4000。単位は人/km²。
答え:4000人/km²
円グラフで比率が上がっただけで、その項目の人数が増えたと断定できるか。
考え方・途中式
全体の人数が減っていれば、割合が上がっても実数は減ることがある。
答え:できない
二つの資料で同じ傾向が見られるとき、それだけで一方が他方の原因と断定できるか。
考え方・途中式
同時に変化する相関だけでは因果を示せない。他の要因や資料も確認する。
答え:できない
二つの資料に同じ傾向があるだけで因果関係を断定できない理由を答えなさい。
考え方・途中式
資料A・Bの傾向を確認→対象年・地域を照合→第三の要因や追加資料を検討→「関係する可能性」と表現する。
答え:他の要因が両方に影響している可能性があり、同時に変化する相関だけでは原因と結果を示せないため。
⑦ 入試・テストでの使い方
外部過去問(JS88・リセマム等)の使い分けは過去問・外部資料ガイドを参照。
- 資料の題名と単位を答案に反映する。
- 比較には「いつといつ」「どことどこ」を明示する。
- グラフの目盛りが途中から始まる場合に注意する。
- 割合の変化は総数の資料も探す。
- 地図の分布は凡例の段階を根拠に書く。
- 理由は資料にある情報か既習事項で支える。
- 資料に書かれていない因果は断定しない。
- 記述の根拠には資料中の数値・用語・位置を一つ以上用いる。
- 「増加した」だけでなく、いつ・何と比べてを明記する。
- リセマム大阪社会資料大問→本アプリ④資料問題。
⑧ よくあるミス
- 割合と実数を同じと考える。
- 増加量を増加率とする。
- 増減率の分母を新しい値にする。
- 円グラフの角度だけで実数を答える。
- グラフの軸の単位を読み落とす。
- 異なる年の資料を同じ時点のように比べる。
- 地図の凡例を見ずに濃淡を解釈する。
- 相関を因果関係と断定する。
- 資料外の精密な数字を作って記述する。
- 資料の作成時点や対象地域を確認せず比較する。
- 推測を資料から直接読める事実のように書く。
⑨ 理解チェック
口頭でもノートでもよいので、全部言えたら問題編へ。
- 題名・年・単位を確認できる
- 表の見出しを読める
- 棒グラフを読める
- 折れ線の転換点を読める
- 円グラフを割合として読める
- 構成比を計算できる
- 増減率を計算できる
- 指数を説明できる
- 地図の凡例を読める
- 相関と因果を区別できる
- 事実と推測を分けて記述できる
- 資料の出典と対象を確認できる
- 事実と推測を分けて記述できる