理科 第8章
化学変化とイオン・中和
要点編
【未履修・先取り/完成/最低35問】電離・電気分解・中和(先取り寄り)。
① この章のねらい
ここでは、塩酸と水酸化ナトリウムの中和と、イオンの電気分解を例にします。BTBの色とH⁺・OH⁻の数を同じビーカーで追い、電極への移動も矢印で確認します。
- 酸・アルカリの電離とイオンを説明できる
- 中和の本質をH⁺+OH⁻→H₂Oで示せる
- 物質量n=C×Vで中和に必要な体積を求められる
- 電気分解で陽イオン・陰イオンの移動先を説明できる
② 図と説明
下の図を順に見てください。各図の下に、その図の読み方を書いてあります。
図 1. イオンの移動

陽イオン→陰極。 図では、矢印の始点と終点、数値や記号の位置を順に対応させて読み、条件を変えても同じ規則で確かめます。
中和はH⁺とOH⁻が結びつくこと
塩酸のH⁺と水酸化ナトリウムのOH⁻が水になります。塩も同時にできますが、本質はH⁺+OH⁻→H₂Oです。 図や表では、まず矢印・数値・単位が何と何を対応させているかを指で追います。次に条件を式、粒子、力の向きなどへ書き込み、途中の判断を飛ばさずに答えを決めます。見た目や用語だけで決めず、条件が変わっても同じ順序で確かめることが大切です。
図 2. 電池の電子と電流

向きは逆。 図では、矢印の始点と終点、数値や記号の位置を順に対応させて読み、条件を変えても同じ規則で確かめます。
BTBで進み具合を見る
酸性では黄、中性付近で緑、アルカリ性で青です。ちょうど中和になると緑になります。 図や表では、まず矢印・数値・単位が何と何を対応させているかを指で追います。次に条件を式、粒子、力の向きなどへ書き込み、途中の判断を飛ばさずに答えを決めます。見た目や用語だけで決めず、条件が変わっても同じ順序で確かめることが大切です。
図 3. 酸・アルカリ・中和

BTB:酸=黄/中性=緑/アルカリ=青。H⁺+OH⁻→H₂O。 図では、矢印の始点と終点、数値や記号の位置を順に対応させて読み、条件を変えても同じ規則で確かめます。
物質量で過不足を見る
n=濃度C×体積Vです。0.10 mol/Lの塩酸20 mLには、同じ濃度の水酸化ナトリウムも20 mLが対応します。 図や表では、まず矢印・数値・単位が何と何を対応させているかを指で追います。次に条件を式、粒子、力の向きなどへ書き込み、途中の判断を飛ばさずに答えを決めます。見た目や用語だけで決めず、条件が変わっても同じ順序で確かめることが大切です。
図 4. 滴定とpH
中和点付近で急変。 図では、矢印の始点と終点、数値や記号の位置を順に対応させて読み、条件を変えても同じ規則で確かめます。
電気分解では電荷で動く
陽イオンは陰極(−)へ、陰イオンは陽極(+)へ動きます。Cu²⁺なら陰極へ向かいます。 図や表では、まず矢印・数値・単位が何と何を対応させているかを指で追います。次に条件を式、粒子、力の向きなどへ書き込み、途中の判断を飛ばさずに答えを決めます。見た目や用語だけで決めず、条件が変わっても同じ順序で確かめることが大切です。
受験で押さえる(この章)
語呂は「音↔記号↔意味」の対応表まで書いて初めて覚え方が完成する。そのあと実験・計算の文脈で使う。
覚え方元素・化学の語呂1 1〜10(水兵リーベ僕の船)
正本「水兵リーベ僕の船」。水=H/兵=He/リーベ=Li・Be/僕=B・C/の=N・O/船=F・Ne。塊で指差し確認する(音節1対1版は使わない)。
覚え方元素・化学の語呂2 11〜20(名前があるシップスクラークか)
正本「名前があるシップスクラークか」。名前が=Na・Mg/ある=Al/シップス=Si・P・S/クラーク=Cl・Ar・K/か=Ca。七曲がり版と混ぜない。
覚え方元素・化学の語呂3 希ガス(変なねーちゃん歩いてくると奇声を連発)
「変なねーちゃん歩いてくると奇声を連発」。変な=He/ねーちゃん=Ne/歩いて=Ar/くると=Kr/奇声を=Xe/連発=Rn。
覚え方元素・化学の語呂4 ハロゲン(ふっくら周囲暖かい)
「ふっくら周囲暖かい」。ふっくら=F・Cl/周囲=Br・I/暖かい=At。陰イオンになりやすい族としてまとめて覚える。
覚え方元素・化学の語呂5 1族(は!リッチな彼女がルビーをせしめてフランスへ)
「は!リッチな彼女がルビーをせしめてフランスへ」。H・Li・Na・K・Rb・Cs・Fr(アルカリ金属+水素)。
覚え方元素・化学の語呂6 2族(ベルとマグカップをCarryするならバッグが楽勝)
「ベルとマグカップをCarryするならバッグが楽勝」。Be・Mg・Ca・Sr・Ba・Ra(アルカリ土類金属)。
覚え方元素・化学の語呂7 イオン化傾向(貸そうかな?まあ、あてにすんなひどすぎる借金)
「貸そうかな?まあ、あてにすんなひどすぎる借金」。K>Ca>Na>Mg>Al>Zn>Fe>Ni>Sn>Pb>H>Cu>Hg>Ag>Pt>Au。左ほどイオン化しやすい。
覚え方元素・化学の語呂8 両性元素(ああすんなり溶けてゆく)
「ああすんなり溶けてゆく」。Al・Zn・Sn・Pb。酸にもアルカリにも溶ける。
覚え方元素・化学の語呂9 不溶性硫酸塩(硫酸塩は馬鹿なやつ)
「硫酸塩は馬鹿なやつ」。Ba・Ca・Pbの硫酸塩は溶けにくい(沈殿判定の定番)。
覚え方元素・化学の語呂10 脂肪酸(パスなくて降りれん)
「パスなくて降りれん」。パス=パルミチン酸・ステアリン酸(二重結合なし)/降りれん=オレイン酸・リノール酸・リノレン酸(二重結合あり)。
必暗元素記号・化合物(この章で使う)
対応表で順番を固めたら、記号→名前→典型的な文脈(発生・検出・性質)の三点セットで使う。
- H(水素)気体の発生・燃焼
- He(ヘリウム)希ガス
- Li(リチウム)アルカリ金属
- Be(ベリリウム)中学で頻出の元素記号
- B(ホウ素)中学で頻出の元素記号
- C(炭素)有機物・二酸化炭素
- N(窒素)空気の約8割
- O(酸素)燃焼・呼吸
- F(フッ素)中学で頻出の元素記号
- Ne(ネオン)希ガス
- Na(ナトリウム)食塩 NaCl
- Mg(マグネシウム)燃焼実験
- H2O(水)酸化水素
- CO2(二酸化炭素)石灰水を白濁
- O2(酸素)燃焼を助ける(助燃性)。酸素自体は燃えない
- H2(水素)可燃性。空気・酸素との混合気体が爆鳴気
- N2(窒素)空気の主成分
- NH3(アンモニア)水に溶けやすい・上方置換
- HCl(塩化水素)気体は塩化水素。水溶液は塩酸(酸性)
- NaCl(塩化ナトリウム)食塩
覚え方この章の覚え方・語呂
語呂は「何と何が対応するか」が見えて初めて使える。下の矢印の左右を声に出してつなぐ。そのあと「なぜその性質/公式になるか」まで言える状態にする。
必暗実験定石
変えた条件・そろえた条件・測定値を先に書く。覚え方より手順が本命。手順を言えたら「なぜその集め方/検出か」を一言添える。
- 中和滴定指示薬の色の変化で終点/イオン式まで書けるか
- 水溶液の性質指示薬→イオン/触覚で決めない
- 中和熱反応で温度が上がることがある/安全に注意
戦い方理科の戦い方
知識で得点を確保し、計算・考察に時間を残す。単位を先に固定する。わからない用語は、定義→例→対比の順で戻す。
- 手順知識問題で得点を確保し、計算・実験考察に時間を残す
- 手順実験問題は「何を変えたか/何をそろえたか/何を測ったか」を先に書く
- 手順単位・有効数字・グラフの軸を見直す。計算は式を残す
- 手順生物・地学の用語は定義を一文で言えるかだけ確認して次へ
- 手順毎日15分:学習中の単元の「受験で押さえる」を音読+書き
- 手順毎日30〜50分:弱点単元の⑤⑥または⑦を1セット
- 手順近い用語・近い年代・近い数値の取り違え
- 手順問題文の一部だけ合っていて結論がずれる選択肢
④ 公式・用語
| 名称 | 内容 | メモ |
|---|---|---|
| 中和の本質 | H⁺+OH⁻→H₂O | — |
| 物質量 | n=C×V | — |
| 電極への移動 | 陽イオン→陰極、陰イオン→陽極 | — |
用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 電離 | 水に溶けてイオンに分かれること。 |
| 中和 | 酸とアルカリが反応して水と塩ができること。 |
| 電気分解 | 電流を流して物質を化学変化させること。 |
⑤ 手順
中和・電気分解の手順
- どのイオンがあるかを先に書く
- 中和はH⁺とOH⁻の物質量をn=C×Vで比べる
- 指示薬の色で酸性・中性・アルカリ性を確認する
- 電気分解は+−−の記号とイオンの符号を対応させる
⑥ 例題
途中の考え方を追うための例です。演習は問題編で行います。
中和の本質をイオンの式で書け。
考え方
酸のH⁺とアルカリのOH⁻が水になる反応です。 まず問題文から与えられた量・単位・向きを取り出し、図のどの部分に対応するかを確認します。次に式または規則に数値や条件を順に当てはめ、計算や判定の途中を省かずに進めます。最後に単位、向き、桁、問いへの答え方が合うかを検算し、根拠と結論を結びます。
答え:H⁺+OH⁻→H₂O
0.10 mol/Lの塩酸20 mLを中和するのに必要な、同じ濃度の水酸化ナトリウム水溶液は何mLか。
考え方
nが等しいので体積も等しいです。 まず問題文から与えられた量・単位・向きを取り出し、図のどの部分に対応するかを確認します。次に式または規則に数値や条件を順に当てはめ、計算や判定の途中を省かずに進めます。最後に単位、向き、桁、問いへの答え方が合うかを検算し、根拠と結論を結びます。
答え:20 mL
Cu²⁺は電気分解でどちらへ動くか。
考え方
陽イオンは陰極(−)へ引きつけられます。 まず問題文から与えられた量・単位・向きを取り出し、図のどの部分に対応するかを確認します。次に式または規則に数値や条件を順に当てはめ、計算や判定の途中を省かずに進めます。最後に単位、向き、桁、問いへの答え方が合うかを検算し、根拠と結論を結びます。
答え:陰極
⑦ 入試での使われ方
- 同体積でも濃度が違えば中性にならない
- 電極の+−とイオンの符号を対応させる
- 指示薬の色変化を中和の目安にする
- ⑤基本:005net基本問題 ⑥標準:005net標準 ⑦応用:JS88型の実験連鎖+本アプリ
- 理科の学習(005net)で基本→標準を章ごとに
- JS88理科過去問で四分野の配分と実験連鎖を確認
⑧ よくある誤り
- 陽イオンが陽極へ行くと答える
- 体積が同じなら必ず中和と決めつける
- 蒸発乾固だけで液を断定する
⑨ 確認
次ができたら問題編へ進んでください。
- H⁺+OH⁻→H₂Oを説明できる
- n=C×Vで中和体積を求められる
- イオンの移動先を電極で説明できる