数学 第20章
三平方の定理
要点編
【未履修・先取り/完成/最低35問】三平方と空間への応用(先取り)。
① この章のねらい
三平方の定理は直角三角形の三辺の関係を表します。最も長い辺である斜辺を、直角の向かい側として必ず確認します。定理の逆では、辺の長さから直角を判定できます。平面だけでなく直方体の対角線にも、直角三角形を二段階で作って応用します。
- 斜辺を正しく判定する
- 三平方の定理を使う
- 根号を含む長さを求める
- 三平方の定理の逆を使う
- 特別な辺の比を使う
- 座標平面の距離を求める
- 直方体の対角線を求める
② 図と説明
下の図を順に見てください。各図の下に、その図の読み方を書いてあります。
図 1. 三平方の定理
直角印を探し、その向かい側で最も長い辺を斜辺としてcと書きます。残りの二辺をa,bにしてa²+b²=c²へ対応させ、二乗して計算します。
使えるのは直角三角形だけ
三平方の定理は直角三角形に限って成り立ちます。 直角の印、または角度や定理の逆で直角を確認してから使います。 一般の三角形へ機械的に当てはめません。例えば直角をはさむ3cm,4cmなら斜辺は5cmです。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
図 2. 特別な直角三角形
30°・60°・90°の向かい側を順に見て、辺の比1:√3:2を対応させます。最大の2が必ず斜辺なので、図の向きに惑わされず直角の向かいを確認します。
斜辺は直角の向かい側
斜辺は直角をはさまない一辺で、三辺の中で最も長くなります。特殊比でも最長辺=比の最大項です。 図の向きが変わっても、直角の向かいを探せば判定できます。 cに置く辺を誤ると式全体が崩れます。例えば辺5,12,13なら13が斜辺です。誤概念:見た目で横向きの辺を斜辺とすること、30-60-90で√3側を斜辺にすること。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
図 3. 空間対角線
まず底面にある直角三角形の二辺と対角線を読み、三平方の定理で底面対角線を出します。次にその線と高さで作る直角三角形を使って空間対角線を求めます。
二辺の平方の和が斜辺の平方
直角をはさむ二辺をa,b、斜辺をcとするとa²+b²=c²です。3²+4²=5²のように、辺を二乗してから足します。 長さそのものではなく二乗した値の関係であることに注意します。 求めた後は正の平方根を長さとして選びます。誤概念:辺を二乗せずに足すこと。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
③ 続きの説明
4. 斜辺以外を求めるときは移項する
a²+b²=c²からa²=c²-b²と変形できます。斜辺13、一辺5ならa²=169-25=144、a=12です。 斜辺の二乗から他の辺の二乗を引くため、負の値にならないかも確認します。 最後にa=√の形へ戻します。誤概念:短い辺どうしを引いて斜辺を求めること。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
5. 平方数の組を使って見通す
3:4:5、5:12:13、8:15:17は代表的な直角三角形の辺の比です。6,8,10は3:4:5の2倍で直角です。 同じ比を何倍しても直角三角形なので、計算の検算にも使えます。 比を暗記しても斜辺の位置は確認します。誤概念:最長辺以外を斜辺側の比に当てはめること。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
6. 定理の逆は最長辺をcにする
最も長い辺をcとしてa²+b²=c²なら、その三角形は直角三角形です。6,8,10なら6²+8²=10²で直角です。 最長辺を先に選ばないと、判定の根拠が不十分になります。 辺の長さだけで直角を示す証明に使えます。誤概念:最長辺を確認せず逆を使うこと。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
7. 二等辺直角三角形の比
直角をはさむ二辺がaなら、斜辺はa√2です。辺が5なら斜辺は5√2です。 三平方の定理でa²+a²=2a²と確認できます。 正方形の対角線でも使えます。誤概念:斜辺をa/√2のまま有理化せず、または等辺を斜辺と取り違えること。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
8. 30°・60°・90°の比(最長辺=斜辺=2)
30°の向かい、60°の向かい、斜辺の比は1:√3:2です。最長辺は必ず比の最大項2(斜辺)です。 正三角形を二つに分けた直角三角形から得られます。 例:斜辺10なら30°の向かいは5、60°の向かいは5√3。誤概念:√3側を斜辺と取り違える、または短い辺を2にすること。角度が明示された問題でのみ使います。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
9. 座標では横と縦の差を辺にする
二点間の距離は、x座標の差とy座標の差を直角三角形の二辺とみなします。A(−1,2),B(5,10)なら差は6と8、距離は10です。 差は絶対値で考え、平方するので符号は最終的に消えます。 図に補助線を引くと対応が見えます。誤概念:座標そのものを辺の長さにすること。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
10. 空間では二段階で考える
直方体の空間対角線は、まず底面の対角線を三平方で求めます。3×4×12なら底面対角線5、空間対角線13です。 次にその対角線と高さを直角三角形の二辺としてもう一度使います。 三辺を一度に足す前に、どの面が直角か図で確認します。誤概念:三辺を図なしで一度に足すこと。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
11. 図形を直角三角形へ分ける
複雑な四角形や立体でも、対角線や高さを補助線として引くと直角三角形が現れることがあります。三平方の定理を使う前に、どの二辺が直角をはさむか、どの辺が斜辺かを色分けして確認します。一つの図に直角三角形が複数ある場合は、先に求める三角形へ番号を付けると式を混ぜません。 補助線で作った長さが次の三角形の辺になる流れを、矢印で追います。 直角の印がある三角形だけを囲む,斜辺をcと図へ直接書く,求めた補助線の長さに単位を付ける,二段階の計算では前段の答えを代入する前に見直す まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
12. 三平方数は比としても使える
3:4:5の組は、3cm・4cm・5cmだけでなく、6cm・8cm・10cmのような同じ倍率でも成り立ちます。辺の一つが分数や根号を含む場合でも、比を意識すると答えのおよその大きさを予想できます。入試では直角を判定するためにも使うため、最長辺が5の側に対応していることを確認します。 暗記した比に当てはめる前に、三辺の比が本当にそろっているか割り算で確かめます。 3:4:5、5:12:13、8:15:17を基本として覚える,倍率が同じか各辺を同じ数で割って確認する,最長辺が斜辺に対応するか確認する,比が合わなければ必ず定理で計算する まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
受験で押さえる(この章)
公式は「唱える」だけでなく、いつ使うか・何を検算するかをセットで固める。比や式は「どの数がどの辺/どの項か」まで対応させる。
覚え方三平方の比(どの数が斜辺か)
比を覚えるときは「一番大きい数が斜辺 c」。当てはめる前に図で最長辺を指差し確認する。
必暗この章の公式(使い方付き)
左の公式名に対し、右で式と「いつ使うか・検算」をセットで言う。唱えるだけで終わらせない。
戦い方数学の戦い方
詰まったら3分で退避。白紙より途中式。見直しは符号・単位・問いの取り違え。
- 手順最初の2分で大問数・配点・図の有無を俯瞰し、解けそうな順に印
- 手順計算・小問を先に得点化し、図形・関数の記述は中盤
- 手順詰まったら3分ルールで一時退避。白紙より途中式を残す
- 手順見直し8分:符号・単位・設問の問い直し(何を求めているか)
- 手順毎日15分:学習中の単元の「受験で押さえる」を音読+書き
- 手順毎日30〜50分:弱点単元の⑤⑥または⑦を1セット
- 手順近い用語・近い年代・近い数値の取り違え
- 手順問題文の一部だけ合っていて結論がずれる選択肢
⑤ 公式・用語
| 名称 | 内容 | メモ |
|---|---|---|
| 三平方の定理 | a²+b²=c² | — |
| 逆 | a²+b²=c²なら直角三角形 | — |
| 二等辺直角 | a:a:a√2 | — |
| 30°・60°・90° | 1:√3:2 | — |
| 座標の距離 | √{(x差)²+(y差)²} | — |
| 直方体の対角線 | √(a²+b²+c²) | — |
用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 直角三角形 | 一つの角が90°の三角形 |
| 斜辺 | 直角の向かい側の辺 |
| 直角をはさむ辺 | 直角の両側の二辺 |
| 三平方数 | 三平方の定理を満たす整数の組 |
| 定理の逆 | 条件から直角を判定する性質 |
| 対角線 | 向かい合う頂点を結ぶ線分 |
| 空間対角線 | 立体内部を通る対角線 |
| 平方根 | 二乗すると元の数になる数 |
⑥ 手順
辺の長さを求める
- 直角三角形か確認する
- 斜辺をcと決める
- a²+b²=c²へ代入する
- 未知数の二乗を孤立させる
- 正の平方根と単位を書く
逆で直角を判定する
- 三辺を小さい順に並べる
- 最長辺をcとする
- 小さい二辺の平方和を計算する
- c²と比較する
- 等しければ直角と結論を書く
⑦ 例題
途中の考え方を追うための例です。演習は問題編で行います。
直角をはさむ二辺が3cm、4cmのとき、斜辺を求めなさい。
考え方
c²=3²+4²=9+16=25。c=√25=5。 まず問題文の数値・図の印・求める量を整理し、何を使うかを決めます。次に式の各行で操作の理由を確認しながら計算します。最後に答えを元の式や図へ戻して検算し、符号・単位・求める形式まで合っているか確かめます。
答え:5cm
斜辺13cm、他の一辺5cmの直角三角形の残りの辺を求めなさい。
考え方
a²=13²-5²=169-25=144。a=12。 まず問題文の数値・図の印・求める量を整理し、何を使うかを決めます。次に式の各行で操作の理由を確認しながら計算します。最後に答えを元の式や図へ戻して検算し、符号・単位・求める形式まで合っているか確かめます。
答え:12cm
辺が6cm、8cm、10cmの三角形は直角三角形か。
考え方
最長辺10について6²+8²=36+64=100=10²。逆より直角三角形。 まず問題文の数値・図の印・求める量を整理し、何を使うかを決めます。次に式の各行で操作の理由を確認しながら計算します。最後に答えを元の式や図へ戻して検算し、符号・単位・求める形式まで合っているか確かめます。
答え:直角三角形である
一辺が6cmの正方形の対角線を求めなさい。
考え方
対角線dはd²=6²+6²=72。d=√72=6√2。 まず問題文の数値・図の印・求める量を整理し、何を使うかを決めます。次に式の各行で操作の理由を確認しながら計算します。最後に答えを元の式や図へ戻して検算し、符号・単位・求める形式まで合っているか確かめます。
答え:6√2cm
30°-60°-90°の直角三角形で、30°の向かいの辺が4cmのとき斜辺と60°の向かいの辺を求めなさい。
考え方
比1:√3:2より、短い辺4に対し斜辺は2倍の8。60°の向かいは4√3。最長の8が斜辺であり、4√3を斜辺としない。 まず問題文の数値・図の印・求める量を整理し、何を使うかを決めます。次に式の各行で操作の理由を確認しながら計算します。最後に答えを元の式や図へ戻して検算し、符号・単位・求める形式まで合っているか確かめます。
答え:斜辺8cm、60°の向かい4√3cm
縦3cm、横4cm、高さ12cmの直方体の空間対角線を求めなさい。
考え方
底面対角線は√(3²+4²)=5。空間対角線は√(5²+12²)=√169=13。 まず問題文の数値・図の印・求める量を整理し、何を使うかを決めます。次に式の各行で操作の理由を確認しながら計算します。最後に答えを元の式や図へ戻して検算し、符号・単位・求める形式まで合っているか確かめます。
答え:13cm
座標平面上のA(-1,2)、B(5,10)の距離を求めなさい。
考え方
x座標の差は5-(-1)=6、y座標の差は10-2=8です。AからBへ水平・垂直な補助線を引くと、辺が6と8の直角三角形ができます。AB²=6²+8²=36+64=100。距離は正なのでAB=10。 まず問題文の数値・図の印・求める量を整理し、何を使うかを決めます。次に式の各行で操作の理由を確認しながら計算します。最後に答えを元の式や図へ戻して検算し、符号・単位・求める形式まで合っているか確かめます。
答え:10
⑧ 入試での使われ方
- 直角の印を最初に探す
- 斜辺をcと図に書く
- 二乗してから足し引きする
- 長さは正の値を選ぶ
- 立体は直角三角形を二段階で作る
- ⑤基本:ちびむす/手鏡 ⑥標準:005net例題 ⑦応用:JS88型連鎖+本アプリ
- JS88数学過去問を50分×週1回
- 005net「入試対策数学総合」で総合力を確認
⑨ よくある誤り
- 最長辺以外をcにする:斜辺は直角の向かい
- 辺を二乗せずに足す:定理は平方の関係
- 直角でない三角形に使う:前提が必要
- √を付け忘れる:求めたのは長さの二乗
- 負の長さを答える:長さは正
- 逆で最長辺を確認しない:判定ができない
- 座標の差でなく座標を使う:辺は差
- 立体の三辺を図なしで扱う:直角関係を確認する
⑩ 確認
次ができたら問題編へ進んでください。
- 斜辺を判定できる
- 定理の前提を言える
- 斜辺を求める
- 他の辺を求める
- 根号を簡単にする
- 逆を使う
- 3:4:5を使う
- 正方形の対角線を求める
- 座標の距離を求める
- 空間対角線を求める