数学 第19章
円
要点編
【未履修・先取り/完成/最低35問】円周角・接線(先取り)。
① この章のねらい
円では、弧に対する中心角・円周角と接線の性質を根拠に角度を求めます。角の両辺が円と交わる点を見て、どの弧を見込むかを判断します。補助線として半径を引くと、接線問題は直角三角形や円周角の問題へつながります。図の見た目で角度を決めず、弧と性質を言葉で書きます。
- 円の基本要素を言える
- 中心角と円周角を区別する
- 同じ弧の円周角を使う
- 直径に対する円周角を使う
- 円に内接する四角形を扱う
- 接線と半径の関係を使う
- 接弦定理を使う
② 図と説明
下の図を順に見てください。各図の下に、その図の読み方を書いてあります。
図 1. 中心角と円周角
角の二辺が円周と交わる二点を見て、同じ弧を先に特定します。頂点が中心なら中心角、円周上なら円周角として、二倍・半分の関係を使います。
弧を先に特定する
円周角は、両辺が円周と交わる二点で決まる弧を見込む角です。∠ACBが弧ABを見込むなら、両端A,Bに印を付けます。 角の頂点だけを見ると別の弧と取り違えるため、弧の両端に印を付けます。 中心角と円周角で同じ弧を比較します。誤概念:頂点の位置だけで角を決めること。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
図 2. 直径に対する円周角
円周角の二辺の端が直径の両端かを図で確認します。該当すれば中心角180°の半分として90°を書き、直角三角形として次の角度計算へ進みます。
中心角は弧の大きさ
中心角の大きさは対応する弧の大きさと同じです。弧ABに対する中心角∠AOBが100°なら、その弧を見込む円周角は50°です。 中心Oが頂点であることを確認します。例:中心角120°→円周角60°。 誤概念:中心角と円周角を同じ大きさにすること。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
図 3. 接線と半径
接点を見つけ、中心からその点へ半径を補助線として引きます。半径と接線の直角印を基準にして、できた三角形の内角和や等しい半径を読みます。
円周角は中心角の半分
同じ弧に対する円周角は中心角の半分です。中心角80°なら円周角40°、円周角25°なら中心角50°です。 この関係は円周上の頂点がどこに移っても、同じ弧を見る限り成り立ちます。 中心角と円周角を逆にして二倍・半分を誤らないようにします。誤概念:円周角を二倍して中心角を求める向きを逆にすること。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
図 4. 円と砂時計相似
同じ弧を見込む二つの円周角を探して同じ印を付けます。交わる弦の対頂角と合わせ、砂時計型の二つの三角形で二角相等を確認します。
同じ弧の円周角は等しい(砂時計相似へ)
同じ二点を両端とする弧を見込む円周角は等しいです。等しい円周角にマークを付けると、交わる弦が作る砂時計型(蝶ネクタイ型)で2角相等の相似が見えます。 これにより、円周上の離れた二つの角を結び付けられます。例:弦ACとBDが点Pで交わるとき、∠PAB=∠PDC(同じ弧)、∠APB=∠CPD(対頂角)より△APB∽△DPC。 大きい弧と小さい弧のどちらを見るかは図で確認します。誤概念:弧を取り違えて別の角を等しいとすること。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
③ 続きの説明
5. 直径を見込む角は直角
円周角の両端が直径の両端なら、中心角は180°です。その半分なので円周角は90°になります。 内接三角形を直角三角形として扱える重要な発見です。例:直径AB、円周上Cなら∠ACB=90°。 誤概念:直径の円周角を180°とすること。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
6. 内接四角形の対角は180°
円に内接する四角形では、向かい合う二角の和は180°です。∠A=72°なら対角∠C=108°です。 同じ円周全体を二つの弧に分けて円周角を考えると説明できます。 一方の対角が分かれば他方を補角で求めます。誤概念:隣り合う角の和を180°とすること。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
7. 接線は半径と垂直
接点を通る半径は、その接線に垂直です。接点T、中心OならOT⊥接線です。 接線問題では接点と中心を結ぶ半径を補助線で引きます。 90°が増えると三角形の内角和や三平方へつながります。誤概念:接点を通らない半径を引いて垂直の根拠にすること。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
8. 同一点から引いた接線の長さ
円の外部の一点から引いた二本の接線は、接点までの長さが等しいです。点Pから接点A,Bへ接線ならPA=PBです。 二つの直角三角形で斜辺と半径が共通になることから合同で説明できます。 接点を二つ区別して図に書きます。誤概念:弦の長さと接線の長さを混同すること。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
9. 接弦定理は弧で確認する
接線と弦が作る角は、その弦に対する反対側の円周角に等しいです。接線と弦ABのなす角が38°なら、反対側の円周角∠ACBも38°です。 接線を含む角でも、対応する弧を見込む円周角へ置き換えられます。 どちら側の弧かを間違えないよう補助点を取ります。誤概念:同じ側の円周角と等しいとすること。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
10. 複数の性質を連結する
円の問題は一つの公式で終わらず、円周角、直角、三角形の内角和を順につなぐことがあります。直径+内角和で∠ABC=58°のように求めます。 分かった角を図へ逐次書き込むと、次に使える性質が見えます。 根拠を角ごとに短く記します。誤概念:図の見た目で角度を決めること。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
11. 円周角の頂点の位置を比べる
同じ弧を見込む円周角では、頂点が円周上のどこに移っても角の大きさは変わりません。図を見たときは、角の頂点ではなく二辺が円周と交わる二点に注目することが決定的です。二点がAとBなら、弧ABに対する角であると小さく書き添えると、別の弧との混同を防げます。 中心が頂点にある角だけは中心角であり、同じ弧でも大きさは円周角の二倍です。 角の二辺を延長して円周との交点を確認する,見込む弧の両端に同じ印を付ける,頂点が中心か円周上かを最初に判定する,同じ弧かどうかを言葉で説明してから式を書く まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
12. 補助線は半径から考える
接線を含む問題で迷ったら、接点と中心を結ぶ半径を引くことが基本です。半径と接線が垂直になるため、直角三角形、二等辺三角形、円周角の関係へ問題を分解できます。補助線は何となく増やすのではなく、新しく使える直角や等しい半径を作る目的で引きます。 引いた線によってできた角が、もとの求める角とどうつながるかを図に書き込みます。 接点を明確にし、中心から線分を引く,半径どうしが等しいことも図に印を付ける,90°を書いて三角形の内角和へつなぐ,補助線を引いた理由を答案で説明する まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
受験で押さえる(この章)
公式は「唱える」だけでなく、いつ使うか・何を検算するかをセットで固める。比や式は「どの数がどの辺/どの項か」まで対応させる。
必暗この章の公式(使い方付き)
左の公式名に対し、右で式と「いつ使うか・検算」をセットで言う。唱えるだけで終わらせない。
戦い方数学の戦い方
詰まったら3分で退避。白紙より途中式。見直しは符号・単位・問いの取り違え。
- 手順最初の2分で大問数・配点・図の有無を俯瞰し、解けそうな順に印
- 手順計算・小問を先に得点化し、図形・関数の記述は中盤
- 手順詰まったら3分ルールで一時退避。白紙より途中式を残す
- 手順見直し8分:符号・単位・設問の問い直し(何を求めているか)
- 手順毎日15分:学習中の単元の「受験で押さえる」を音読+書き
- 手順毎日30〜50分:弱点単元の⑤⑥または⑦を1セット
- 手順近い用語・近い年代・近い数値の取り違え
- 手順問題文の一部だけ合っていて結論がずれる選択肢
⑤ 公式・用語
| 名称 | 内容 | メモ |
|---|---|---|
| 円周角 | 円周角=同じ弧の中心角÷2 | — |
| 同じ弧の円周角 | 等しい | — |
| 直径の円周角 | 90° | — |
| 内接四角形 | 対角の和=180° | — |
| 接線と半径 | 接点で垂直 | — |
| 二接線 | 同一点からの接線の長さは等しい | — |
用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 中心 | 円の中心となる点 |
| 半径 | 中心から円周までの線分 |
| 弦 | 円周上の二点を結ぶ線分 |
| 弧 | 円周の一部分 |
| 中心角 | 中心を頂点とする角 |
| 円周角 | 円周上を頂点とする角 |
| 接線 | 円に一点だけで接する直線 |
| 接点 | 接線と円が接する点 |
⑥ 手順
円周角問題の解き方
- 求める角の両辺を延長して弧の両端を確認する
- 同じ弧の中心角または円周角を探す
- 半分・等しい関係を使う
- 三角形や四角形の角の和で補う
接線問題の解き方
- 接点から中心へ半径を引く
- 半径と接線の直角を書く
- 円周角や二等辺三角形を探す
- 求める角を内角和で決める
⑦ 例題
途中の考え方を追うための例です。演習は問題編で行います。
弧ABに対する中心角が120°です。弧ABに対する円周角を求めなさい。
考え方
円周角は同じ弧の中心角の半分。120÷2=60。 まず問題文の数値・図の印・求める量を整理し、何を使うかを決めます。次に式の各行で操作の理由を確認しながら計算します。最後に答えを元の式や図へ戻して検算し、符号・単位・求める形式まで合っているか確かめます。
答え:60°
直径ABを見込む円周角∠ACBを求めなさい。
考え方
ABは直径なので中心角は180°。円周角はその半分で90°。 まず問題文の数値・図の印・求める量を整理し、何を使うかを決めます。次に式の各行で操作の理由を確認しながら計算します。最後に答えを元の式や図へ戻して検算し、符号・単位・求める形式まで合っているか確かめます。
答え:90°
円に内接する四角形ABCDで∠A=72°です。∠Cを求めなさい。
考え方
内接四角形の対角の和は180°。∠C=180-72=108。 まず問題文の数値・図の印・求める量を整理し、何を使うかを決めます。次に式の各行で操作の理由を確認しながら計算します。最後に答えを元の式や図へ戻して検算し、符号・単位・求める形式まで合っているか確かめます。
答え:108°
中心O、接点Tで接線lを引く。OTとlのなす角を求めなさい。
考え方
接線は接点を通る半径に垂直。したがって∠OTl=90°。 まず問題文の数値・図の印・求める量を整理し、何を使うかを決めます。次に式の各行で操作の理由を確認しながら計算します。最後に答えを元の式や図へ戻して検算し、符号・単位・求める形式まで合っているか確かめます。
答え:90°
円周上のA,B,C,Dで、∠ACB=35°、∠ADBも弧ABを見込む。∠ADBを求めなさい。
考え方
∠ACBと∠ADBは同じ弧ABに対する円周角。よって等しく35°。 まず問題文の数値・図の印・求める量を整理し、何を使うかを決めます。次に式の各行で操作の理由を確認しながら計算します。最後に答えを元の式や図へ戻して検算し、符号・単位・求める形式まで合っているか確かめます。
答え:35°
円の弦ACとBDが点Pで交わる。∠BAP=40°、∠APB=70°のとき∠DCPを求め、相似を示しなさい。
考え方
∠BAPと∠DCPは同じ弧BPに対する円周角で等しい。∠APB=∠CPD(対頂角)。2角相等より砂時計型で△APB∽△CPD。よって∠DCP=40°。 まず問題文の数値・図の印・求める量を整理し、何を使うかを決めます。次に式の各行で操作の理由を確認しながら計算します。最後に答えを元の式や図へ戻して検算し、符号・単位・求める形式まで合っているか確かめます。
答え:∠DCP=40°、△APB∽△CPD
円OでABは直径、Cは円周上の点です。∠BAC=32°のとき∠ABCを求めなさい。
考え方
直径ABを見込む円周角∠ACBは90°です。三角形ABCの内角和は180°だから、∠ABC=180-90-32=58°。直径の円周角と三角形の内角和を順につなぐ。図の見た目で二等辺と決めない。 まず問題文の数値・図の印・求める量を整理し、何を使うかを決めます。次に式の各行で操作の理由を確認しながら計算します。最後に答えを元の式や図へ戻して検算し、符号・単位・求める形式まで合っているか確かめます。
答え:58°
⑧ 入試での使われ方
- 円周角が見込む弧の両端に印を付ける
- 中心角か円周角か頂点で判定する
- 直径を見つけたら90°を書く
- 接線を見たら半径を補助線にする
- 角の根拠を図の横に書く
- ⑤基本:ちびむす/手鏡 ⑥標準:005net例題 ⑦応用:JS88型連鎖+本アプリ
- JS88数学過去問を50分×週1回
- 005net「入試対策数学総合」で総合力を確認
⑨ よくある誤り
- 中心角を半分にしない:円周角との関係を逆にする
- 異なる弧の角を等しいとする:両端を確認する
- 直径の円周角を180°とする:半分で90°
- 接線と弦を半径と混同する:接点へ半径を引く
- 内接四角形の隣角を補角にする:対角の和が180°
- 接点を通らない半径を引く:垂直の根拠にならない
- 図の大きさで判断する:性質を使う
- 弧の反対側を無視する:見込む弧を特定する
⑩ 確認
次ができたら問題編へ進んでください。
- 弧と弦を区別できる
- 中心角を見つける
- 円周角を見つける
- 半分の関係を使う
- 同じ弧を判定する
- 直径の円周角を使う
- 内接四角形を使う
- 接線へ半径を引く
- 二接線の長さを使う
- 根拠を書ける