数学 第18章
相似
要点編
【未履修・先取り/完成/最低35問】相似条件・比・証明(先取り)。
① この章のねらい
相似は、形が同じで大きさだけが異なる図形を扱う単元です。対応する角と辺を正しく決めることが、長さ・面積・証明の全ての出発点です。相似比は長さの比、面積比はその二乗であることを区別します。図の向きではなく角の対応で判断します。
- 相似の意味を説明する
- 三角形の相似条件を使う
- 対応順をそろえる
- 相似比で長さを求める
- 平行線と相似を結び付ける
- 面積比を求める
- 相似を用いて証明する
② 図と説明
下の図を順に見てください。各図の下に、その図の読み方を書いてあります。
図 1. 相似な三角形の対応
等しい角へ同じ印を付けて頂点の対応を決め、∽の左右を同じ順序で読みます。図の向きが反転していても、対応辺だけを結んで比を作ります。
相似は角と辺の二つの条件
相似な図形では対応する角が全て等しく、対応する辺の比が全て等しいです。暗記から入らず、図の等しい角に印を付けて対応を言語化します。 見た目が似ていても、この二つを確かめなければ相似とは言えません。 記号△ABC∽△DEFは頂点の対応も表します。例:∠A=∠D、∠B=∠Eなら△ABC∽△DEFで、AB:DE=BC:EF。誤概念:図の向きだけで頂点順を決めること。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
図 2. 相似条件の3つ
図の角印と辺の比を確認し、二角相等・二辺とその間の角・三辺比のどれかを選びます。条件を満たす組を根拠とともに順番に読み上げます。
二組の角で相似を示す
二組の角がそれぞれ等しければ、三角形は相似です。 平行線の錯角や同位角、共通角を根拠にすることが多いです。 残りの一角を計算する必要はありません。例えば∠A=∠D、∠B=∠Eなら二角相等で相似です。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
図 3. 相似比と面積比
対応する縦と横が同じ倍率になる図を読み、相似比を二乗して面積比にします。長さの比をそのまま使わず、小さい図形と大きい図形の順を固定します。
辺とその間の角を使う
二組の辺の比が等しく、その間の角が等しければ相似です。 等しい角が二辺の間にあるかを図で確かめます。 合同条件と混同して辺の長さを等しいとしません。例えば比が等しく挟む角が等しければ相似です。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
③ 続きの説明
4. 三組の辺の比をそろえる
三組の対応辺の比が全て等しければ相似です。 比は同じ順序で並べ、逆数を混ぜないことが大切です。 必要なら最も短い辺どうしから対応を決めます。例えば三辺の比がすべて2:3なら相似です。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
5. 対応順は角から決める
等しい角の頂点を対応させて、記号の順をそろえます。△ABC∽△DEFならABはDE、BCはEFに対応します。 対応が決まってから比例式を作ります。例:AB=6,DE=9,BC=8なら6:9=8:EFよりEF=12。 誤概念:図が上下逆でも見た目の上の頂点どうしを対応させること。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
6. 相似比は一次元の量に使う
相似比m:nなら、対応辺・周の長さ・高さの比もm:nです。相似比3:5で短い辺12なら長い辺は20です。 一方の辺が分かれば、対応する辺との比例式で未知数を求められます。 対応しない辺を比べないよう印を付けます。誤概念:周の長さ比まで二乗すること(長さは一次元)。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
7. 平行線は小三角形を作る
三角形の一辺に平行な線を引くと、元の三角形と小さい三角形が相似になります。DE//BC、AD:AB=2:3ならAE:AC=2:3です。 角の等しさは平行線の性質で説明できます。 分割された辺の比へつなげます。誤概念:平行の根拠を書かずに角が等しいとすること。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
8. 面積比は相似比の二乗
相似比がm:nなら面積比はm²:n²です。辺の比をそのまま面積に使ってはいけません。 縦も横もm:n倍になるため、面積では倍率が二回掛かります。正方形の辺が1:2なら面積は1:4と視覚化できます。 例:相似比2:3、小さい三角形の面積24cm²なら面積比4:9より大きい面積は24×9/4=54cm²。誤概念:相似比2:3を面積比にもそのまま使うこと。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
9. 体積比は三乗だが中学では注意
相似な立体では体積比が相似比の三乗になります。相似比1:2なら体積比は1:8です。 平面図形の面積比と混同しないよう、扱う量の次元を意識します。 問題で立体を扱うときだけ使います。誤概念:面積比と同じく二乗で済ませること。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
10. 証明は相似を先に確定する
証明では相似条件を満たす角・辺を順に示してから結論を出します。例:錯角で∠A=∠D、共通角で∠C共通→二角相等→相似→対応辺の比。 相似だから対応する辺の比が等しい、という順序を逆にしません。 根拠のない図の見た目は使いません。誤概念:相似確定前に比を使い始めること。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
11. 対応を矢印で固定する
相似の計算で最も多い誤りは、対応する辺を途中で入れ替えることです。相似を示した直後にA→D、B→Eのように頂点の対応を図へ矢印で書き、対応辺を同じ色や印で結びます。比例式はこの対応表を見ながら作ると、図が回転していても迷いません。 辺の長さだけでなく、向かい合う角や高さの対応も同じ順序で考えます。 相似記号の左から右へ頂点に矢印を書く,対応辺を二本ずつ図で結んでから比を書く,比例式の分子・分母の順序を最後まで固定する,図を回転させても対応が変わらないことを確認する まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
12. 相似の証明を比の利用へつなぐ
証明問題では「相似である」ことがゴールではなく、その後に対応する角や辺の比を使うための根拠になります。まず平行線や共通角から相似条件を満たすことを示し、相似であると結論を書きます。その後で初めて、対応辺の比や対応角の等しさを使って求める量へ進みます。 この順序を守ると、結論を先取りする論理の飛躍を防げます。 仮定から得られる角に根拠を書く,相似条件を一文で明記する,相似記号は対応順をそろえて書く,相似の後に使う性質を「よって」で続ける まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
受験で押さえる(この章)
公式は「唱える」だけでなく、いつ使うか・何を検算するかをセットで固める。比や式は「どの数がどの辺/どの項か」まで対応させる。
必暗この章の公式(使い方付き)
左の公式名に対し、右で式と「いつ使うか・検算」をセットで言う。唱えるだけで終わらせない。
戦い方最初の一手
止まったら分野名より「図・表・式のどれに書き直すか」を決める。
- 図形証明仮定と結論に下線、等しい角に印
戦い方数学の戦い方
詰まったら3分で退避。白紙より途中式。見直しは符号・単位・問いの取り違え。
- 手順最初の2分で大問数・配点・図の有無を俯瞰し、解けそうな順に印
- 手順計算・小問を先に得点化し、図形・関数の記述は中盤
- 手順詰まったら3分ルールで一時退避。白紙より途中式を残す
- 手順見直し8分:符号・単位・設問の問い直し(何を求めているか)
- 手順毎日15分:学習中の単元の「受験で押さえる」を音読+書き
- 手順毎日30〜50分:弱点単元の⑤⑥または⑦を1セット
- 手順近い用語・近い年代・近い数値の取り違え
- 手順問題文の一部だけ合っていて結論がずれる選択肢
⑤ 公式・用語
| 名称 | 内容 | メモ |
|---|---|---|
| 相似の記号 | △ABC∽△DEF | — |
| 対応辺の比 | AB/DE=BC/EF=CA/FD | — |
| 二角相等 | 二組の角がそれぞれ等しい | — |
| 面積比 | 相似比m:n → m²:n² | — |
| 体積比 | 相似比m:n → m³:n³ | — |
用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 相似 | 形が同じ図形の関係 |
| 相似比 | 対応する長さの比 |
| 対応する辺 | 同じ位置の辺 |
| 対応する角 | 同じ位置の角 |
| 二角相等 | 二組の角が等しい相似条件 |
| 平行線 | 交わらない二直線 |
| 面積比 | 二図形の面積の比 |
| 相似な立体 | 対応する長さの比が等しい立体 |
⑥ 手順
相似を見つける手順
- 等しい角に印を付ける
- 対応する頂点を決める
- 相似条件を選ぶ
- 記号を対応順に書く
- 対応辺だけで比例式を作る
面積比問題
- 二図形が相似か確認する
- 相似比を最も簡単な比にする
- 各数を二乗する
- 求める面積へ比例で戻す
⑦ 例題
途中の考え方を追うための例です。演習は問題編で行います。
相似比が3:5の図形で、短い方の対応辺が12cmです。長い方を求めなさい。
考え方
12:x=3:5。3x=60よりx=20。対応辺どうしで比例式を作る。 まず問題文の数値・図の印・求める量を整理し、何を使うかを決めます。次に式の各行で操作の理由を確認しながら計算します。最後に答えを元の式や図へ戻して検算し、符号・単位・求める形式まで合っているか確かめます。
答え:20cm
相似比2:3の二つの三角形の面積比を求めなさい。
考え方
面積比は相似比の二乗。2²:3²=4:9。辺の比2:3をそのまま面積にしない。 まず問題文の数値・図の印・求める量を整理し、何を使うかを決めます。次に式の各行で操作の理由を確認しながら計算します。最後に答えを元の式や図へ戻して検算し、符号・単位・求める形式まで合っているか確かめます。
答え:4:9
△ABC∽△DEFでAB=6, DE=9, BC=8のときEFを求めなさい。
考え方
AB:DE=BC:EFより6:9=8:x。6x=72、x=12。対応順A→D、B→E、C→Fを固定します。 まず問題文の数値・図の印・求める量を整理し、何を使うかを決めます。次に式の各行で操作の理由を確認しながら計算します。最後に答えを元の式や図へ戻して検算し、符号・単位・求める形式まで合っているか確かめます。
答え:12
△ABC∽△CBAと書いたとき、何が誤りか説明しなさい。
考え方
∽の左右で同じ位置の頂点が対応します。∠Aに対応するのは∠Cではなく、等しい角の頂点を対応させる。向きが逆でも対応は角で決める。 まず問題文の数値・図の印・求める量を整理し、何を使うかを決めます。次に式の各行で操作の理由を確認しながら計算します。最後に答えを元の式や図へ戻して検算し、符号・単位・求める形式まで合っているか確かめます。
答え:頂点の対応順が対応する角と一致していない
△ABCでDE//BC、AD=4, DB=2, AE=6のときACを求めなさい。
考え方
△ADE∽△ABC。AD:AB=AE:AC、4:6=6:x。4x=36よりx=9。 まず問題文の数値・図の印・求める量を整理し、何を使うかを決めます。次に式の各行で操作の理由を確認しながら計算します。最後に答えを元の式や図へ戻して検算し、符号・単位・求める形式まで合っているか確かめます。
答え:9
相似比3:4の二つの三角形で、大きい方の面積が64cm²です。小さい方の面積を求めなさい。
考え方
面積比は9:16。小:大=9:16だから小=64×9/16=36。 まず問題文の数値・図の印・求める量を整理し、何を使うかを決めます。次に式の各行で操作の理由を確認しながら計算します。最後に答えを元の式や図へ戻して検算し、符号・単位・求める形式まで合っているか確かめます。
答え:36cm²
△ABC∽△DEFで、相似比が2:3、△ABCの面積が24cm²です。△DEFの面積を求めなさい。
考え方
対応する長さの比は2:3なので、面積比は2²:3²=4:9です。小さい△ABCの24cm²が4に対応します。大きい面積をxとすると24:x=4:9。4x=216よりx=54です。 まず問題文の数値・図の印・求める量を整理し、何を使うかを決めます。次に式の各行で操作の理由を確認しながら計算します。最後に答えを元の式や図へ戻して検算し、符号・単位・求める形式まで合っているか確かめます。
答え:54cm²
⑧ 入試での使われ方
- 対応頂点は角から決める
- 相似の記号の順序をそろえる
- 比例式は対応辺だけで作る
- 面積比は必ず二乗する
- 証明は相似条件を明記する
- ⑤基本:ちびむす/手鏡 ⑥標準:005net例題 ⑦応用:JS88型連鎖+本アプリ
- JS88数学過去問を50分×週1回
- 005net「入試対策数学総合」で総合力を確認
⑨ よくある誤り
- 図の向きだけで対応を決める:回転していても対応は変わらない
- 角一組だけで相似とする:条件が不足
- 合同と同じ長さとする:相似は比が等しい
- 比を途中で逆にする:順序を固定する
- 面積比を相似比と同じにする:二乗が必要
- 周の長さ比を二乗する:長さは一次元
- 平行線の根拠を書かない:角の等しさを示せない
- 相似確定前に比を使う:論理が逆
⑩ 確認
次ができたら問題編へ進んでください。
- 相似の定義を言える
- 二角相等を使える
- 辺角辺の相似条件を使える
- 三辺比を使える
- 対応順をそろえる
- 比例式を作れる
- 平行線から相似を見つける
- 面積比を二乗する
- 立体では三乗を区別する
- 相似を用いて証明できる