数学 第8章
式の計算(中2)
要点編
【既習/完成/最低25問】単項式・多項式の計算。
① この章のねらい
展開は積を和へ、因数分解は和を積へ変える逆向きの操作です。公式を丸暗記するより、分配法則から形を確かめると符号を誤りません。因数分解は共通因数を最初に探し、次に公式の形を見抜きます。最後に展開して元の式へ戻す検算を習慣にします。
- 分配法則で展開する
- 3つの乗法公式を使う
- 共通因数をくくる
- 公式を用いて因数分解する
- x²+px+qを因数分解する
- 置き換えを使う
- 展開で検算する
② 図と説明
下の図を順に見てください。各図の下に、その図の読み方を書いてあります。
図 1. 単項式・多項式の計算

文字と指数が同じ項だけを縦にそろえて加減します。掛け算では格子の全てのマスを埋め、各組合せを一度ずつ計算します。
展開は掛け漏れを防ぐ操作
二つの多項式の積では、一方の各項を他方の各項に掛けます。格子表(2×2)に書くと掛け漏れを防げます。例えば(x+2)(x+3)なら、x·x、x·3、2·x、2·3の四つを全て書き、x²+5x+6とします。 項が二つずつなら四つの積が出るため、矢印や縦書きで全組合せを確認します。「表にすると安全」が定型句です。 最後に同類項をまとめて標準形にします。誤概念:一方の項だけに掛けて中央項を落とすこと。検算はx=1を代入して左右一致を見ます。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
図 2. 式の展開の面積モデル
正方形をaとbの辺で区切り、四つの小さな長方形・正方形の面積を読みます。各面積を足すことで展開式の各項を確認します。
和の平方の中央項
(a+b)²はa²+2ab+b²です。 中央項2abはabとbaの二つが加わってできるので、係数2を忘れてはいけません。 aとbの符号を保ったまま使います。例えば(x+2)²=x²+4x+4で、中央項は2×x×2=4xです。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
③ 続きの説明
3. 差の平方の符号
(a-b)²では中央項だけが-2abになります。 最後の(-b)²は正のb²であり、最後まで負にはなりません。 括弧全体を二乗している意味を意識します。例えば(x-3)²=x²-6x+9で、最後は(+9)です。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
4. 平方差は交差項が消える
(a+b)(a-b)ではabと-baが打ち消し合います。例えば(x+4)(x-4)=x²-16です。 残るのはa²-b²なので、二つの平方の差を見たら逆向きにも使えます。 和と差の組になっているかを確認します。誤概念:中央項2abが残ると考えること。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
5. 共通因数を最優先する
因数分解では全項に共通する数や文字を最初にくくります。例えば6x²-15x=3x(2x-5)です。 先に公式を探すと、より簡単な積の形を見落とすことがあります。 くくった後の括弧内もさらに因数分解できるか見ます。誤概念:共通因数を残したまま公式だけ当てはめること。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
6. 符号を含めてくくる
先頭項を正にしたいときは、-1や負の文字係数を共通因数としてくくれます。-x²+3xは-x(x-3)とすると括弧内を見やすくできます。 展開して符号が戻るか確認します。例:-x(x-3)=-x²+3xで元に戻ります。 誤概念:負の共通因数をくくったあと括弧内の符号を直さないこと。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
7. 二次式は積と和を見る
x²+px+qは、積がqで和がpになる二数を探します。 qが正なら二数は同符号、qが負なら異符号です。 和の符号からどちらの符号かを決めます。例えばx²+5x+6=(x+2)(x+3)で、2×3=6かつ2+3=5です。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
8. 係数がある二次式を整理する
ax²+bx+cでは、共通因数や置き換えで公式の形に近付けます。例えば2x²+6x+4=2(x²+3x+2)=2(x+1)(x+2)です。 不用意に数を割ると整数の因数を見つけにくくなるため、まず全項の共通因数を調べます。 積に戻した後の各因数も確認します。誤概念:共通の2を落として答えを(x+1)(x+2)だけにすること。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
9. 置き換えで構造を見る
x²を一つの文字Aと見れば、x⁴+5x²+6はA²+5A+6=(A+2)(A+3)=(x²+2)(x²+3)です。 複雑な文字や式でも同じ部分を一まとまりにすると、基本公式が使えます。 置き換えたものを最後に必ず戻します。誤概念:Aのまま答えを終えること。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
10. 展開と因数分解は検算になる
因数分解の答えを展開すれば元の式に戻るはずです。 一致しなければ係数、中央項、符号のどれかが誤っています。 答え合わせ前にも自分で確かめられる強力な方法です。例えば(x-2)(x+3)を展開しx²+x-6へ戻して確かめます。 まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
11. 文字を数として試して確かめる
展開公式に不安があるときは、x=2など簡単な数を代入して左右が一致するかを確かめられます。これは証明の代わりではありませんが、中央項や符号の誤りを早く発見する検算になります。文字式のままの展開と数値代入の両方で同じ値になる経験は、公式の意味を理解する助けになります。 ただし、一つの数で合っても常に正しいとは限らないので、最後は分配法則に戻って確認します。 代入する数は0、1、-1など計算しやすい値を選ぶ,分母がある式では0にしてはいけない文字がないか確認する,公式の左辺と右辺の両方に同じ値を代入する,検算の結果と式変形の根拠を混同しない まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
12. 因数分解の答えの形を整える
因数分解は、これ以上因数分解できない積の形まで進めることが必要です。例えばx²-4を(x²-4)のままにせず、(x-2)(x+2)まで分けるかを確認します。共通因数をくくった後に公式が使える場合も多いため、一度で終わりと決めません。 定数因数の順序は変えても値は同じですが、通常は係数を前、文字を含む因数を括弧にして読みやすく書きます。 共通因数をくくった後の括弧内を再点検する,平方差や完全平方の形が残っていないか見る,因数の順序より、積の形になっているかを優先する,展開して元の多項式へ戻るかを必ず確かめる まず図・数直線・式のどこが基準かを指で確認します。次に与えられた数値や印を対応する場所へ書き込み、使う性質を一つずつ言葉にします。最後に途中の値と答えを図や元の式へ戻し、条件・符号・単位に矛盾がないか検算します。
受験で押さえる(この章)
公式は「唱える」だけでなく、いつ使うか・何を検算するかをセットで固める。比や式は「どの数がどの辺/どの項か」まで対応させる。
戦い方数学の戦い方
詰まったら3分で退避。白紙より途中式。見直しは符号・単位・問いの取り違え。
- 手順最初の2分で大問数・配点・図の有無を俯瞰し、解けそうな順に印
- 手順計算・小問を先に得点化し、図形・関数の記述は中盤
- 手順詰まったら3分ルールで一時退避。白紙より途中式を残す
- 手順見直し8分:符号・単位・設問の問い直し(何を求めているか)
- 手順毎日15分:学習中の単元の「受験で押さえる」を音読+書き
- 手順毎日30〜50分:弱点単元の⑤⑥または⑦を1セット
- 手順近い用語・近い年代・近い数値の取り違え
- 手順問題文の一部だけ合っていて結論がずれる選択肢
⑤ 公式・用語
| 名称 | 内容 | メモ |
|---|---|---|
| 和の平方 | (a+b)²=a²+2ab+b² | — |
| 差の平方 | (a-b)²=a²-2ab+b² | — |
| 平方差 | (a+b)(a-b)=a²-b² | — |
| 平方和型 | a²+2ab+b²=(a+b)² | — |
| 二次式 | x²+(p+q)x+pq=(x+p)(x+q) | — |
用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 展開 | 積を和の形にすること |
| 因数分解 | 和を積の形にすること |
| 分配法則 | 括弧内の各項へ掛ける規則 |
| 共通因数 | 全項に共通する因数 |
| 乗法公式 | 頻出の積を表す公式 |
| 平方差 | 二つの平方の差 |
| 標準形 | 次数の高い順に並べた式 |
| 置き換え | 同じ式を一文字とみなすこと |
⑥ 手順
因数分解の判定順
- 全項の共通因数をくくる
- 項数と符号を確認する
- 乗法公式の形を探す
- 二次式なら積と和を調べる
- 展開して検算する
展開を正確にする
- 各項の組合せに印を付ける
- 係数と文字を別々に掛ける
- 符号を含めて書く
- 同類項をまとめる
⑦ 例題
途中の考え方を追うための例です。演習は問題編で行います。
(x+3)(x+5)を展開しなさい。
考え方
格子表でx·x、x·5、3·x、3·5の四つ。x²+5x+3x+15=x²+8x+15。掛け漏れ防止。 まず問題文の数値・図の印・求める量を整理し、何を使うかを決めます。次に式の各行で操作の理由を確認しながら計算します。最後に答えを元の式や図へ戻して検算し、符号・単位・求める形式まで合っているか確かめます。
答え:x²+8x+15
(2x-3)²を展開しなさい。
考え方
(2x)²-2×2x×3+3²=4x²-12x+9。中央項の符号は負。 まず問題文の数値・図の印・求める量を整理し、何を使うかを決めます。次に式の各行で操作の理由を確認しながら計算します。最後に答えを元の式や図へ戻して検算し、符号・単位・求める形式まで合っているか確かめます。
答え:4x²-12x+9
6x²-15xを因数分解しなさい。
考え方
6x²と-15xの共通因数は3x。3x(2x-5)とくくる。 まず問題文の数値・図の印・求める量を整理し、何を使うかを決めます。次に式の各行で操作の理由を確認しながら計算します。最後に答えを元の式や図へ戻して検算し、符号・単位・求める形式まで合っているか確かめます。
答え:3x(2x-5)
x²-x-12を因数分解しなさい。
考え方
積が-12、和が-1となるのは-4と3。よって(x-4)(x+3)。 まず問題文の数値・図の印・求める量を整理し、何を使うかを決めます。次に式の各行で操作の理由を確認しながら計算します。最後に答えを元の式や図へ戻して検算し、符号・単位・求める形式まで合っているか確かめます。
答え:(x-4)(x+3)
x⁴-5x²+4を因数分解しなさい。
考え方
A=x²と置くとA²-5A+4=(A-1)(A-4)。Aを戻し、平方差を使う。 まず問題文の数値・図の印・求める量を整理し、何を使うかを決めます。次に式の各行で操作の理由を確認しながら計算します。最後に答えを元の式や図へ戻して検算し、符号・単位・求める形式まで合っているか確かめます。
答え:(x²-1)(x²-4)=(x-1)(x+1)(x-2)(x+2)
(x+2)(x-2)-(x-1)²を計算しなさい。
考え方
(x+2)(x-2)=x²-4であり、平方差を用います。(x-1)²=x²-2x+1。したがってx²-4-(x²-2x+1)=x²-4-x²+2x-1=-2x+3。後ろの括弧全体に負号を掛けることが重要です。 まず問題文の数値・図の印・求める量を整理し、何を使うかを決めます。次に式の各行で操作の理由を確認しながら計算します。最後に答えを元の式や図へ戻して検算し、符号・単位・求める形式まで合っているか確かめます。
答え:-2x+3
⑧ 入試での使われ方
- 公式のaとbを式のどの部分に対応させたか書く
- 因数分解は共通因数から始める
- 負の共通因数で括弧内を見やすくする
- 答案では途中の因数分解を省かない
- 検算は展開して行う
- ⑤基本:ちびむす/手鏡 ⑥標準:005net例題 ⑦応用:JS88型連鎖+本アプリ
- JS88数学過去問を50分×週1回
- 005net「入試対策数学総合」で総合力を確認
⑨ よくある誤り
- (a-b)²の最後を-b²にする:二乗なので正
- 2abを忘れる:交差項は二つある
- 共通因数をくくらない:完全な因数分解でない
- 積だけ見て和を見ない:中央項が合わない
- 係数を片方にしか掛けない:分配法則違反
- 置き換えを戻さない:元の文字の答えでない
- 因数分解後に加法のまま書く:積の形にする
- 検算しない:符号ミスを見逃す
⑩ 確認
次ができたら問題編へ進んでください。
- 全ての項へ分配できる
- 和と差の平方を区別できる
- 平方差を使える
- 共通因数を探せる
- 負の因数をくくれる
- 積と和から二数を探せる
- 置き換えができる
- 完全に因数分解できる
- 展開で検算できる
- 符号を確認できる