数学 第6章
三平方の定理
要点編
三平方の定理と空間図形への応用
ここは参考書パート(要点編)です。市販参考書と同じく「読んで理解 → 例題で流れを追う → チェック」の順で進めてください。理解チェックができたら問題編へ。
① この章のねらい
三平方の定理は直角三角形の三辺の関係を表します。最も長い辺である斜辺を、直角の向かい側として必ず確認します。定理の逆では、辺の長さから直角を判定できます。平面だけでなく直方体の対角線にも、直角三角形を二段階で作って応用します。
- 斜辺を正しく判定する
- 三平方の定理を使う
- 根号を含む長さを求める
- 三平方の定理の逆を使う
- 特別な辺の比を使う
- 座標平面の距離を求める
- 直方体の対角線を求める
② 重要ポイント(本文)
1.使えるのは直角三角形だけ
三平方の定理は直角三角形に限って成り立ちます。 直角の印、または角度や定理の逆で直角を確認してから使います。 一般の三角形へ機械的に当てはめません。
2.斜辺は直角の向かい側
斜辺は直角をはさまない一辺で、三辺の中で最も長くなります。 図の向きが変わっても、直角の向かいを探せば判定できます。 cに置く辺を誤ると式全体が崩れます。
3.二辺の平方の和が斜辺の平方
直角をはさむ二辺をa,b、斜辺をcとするとa²+b²=c²です。 長さそのものではなく二乗した値の関係であることに注意します。 求めた後は正の平方根を長さとして選びます。
4.斜辺以外を求めるときは移項する
a²+b²=c²からa²=c²-b²と変形できます。 斜辺の二乗から他の辺の二乗を引くため、負の値にならないかも確認します。 最後にa=√の形へ戻します。
5.平方数の組を使って見通す
3:4:5、5:12:13、8:15:17は代表的な直角三角形の辺の比です。 同じ比を何倍しても直角三角形なので、計算の検算にも使えます。 比を暗記しても斜辺の位置は確認します。
6.定理の逆は最長辺をcにする
最も長い辺をcとしてa²+b²=c²なら、その三角形は直角三角形です。 最長辺を先に選ばないと、判定の根拠が不十分になります。 辺の長さだけで直角を示す証明に使えます。
7.二等辺直角三角形の比
直角をはさむ二辺がaなら、斜辺はa√2です。 三平方の定理でa²+a²=2a²と確認できます。 正方形の対角線でも使えます。
8.30°・60°・90°の比
30°の向かい、60°の向かい、斜辺の比は1:√3:2です。 正三角形を二つに分けた直角三角形から得られます。 角度が明示された問題でのみ使います。
9.座標では横と縦の差を辺にする
二点間の距離は、x座標の差とy座標の差を直角三角形の二辺とみなします。 差は絶対値で考え、平方するので符号は最終的に消えます。 図に補助線を引くと対応が見えます。
10.空間では二段階で考える
直方体の空間対角線は、まず底面の対角線を三平方で求めます。 次にその対角線と高さを直角三角形の二辺としてもう一度使います。 三辺を一度に足す前に、どの面が直角か図で確認します。
11.図形を直角三角形へ分ける
複雑な四角形や立体でも、対角線や高さを補助線として引くと直角三角形が現れることがあります。三平方の定理を使う前に、どの二辺が直角をはさむか、どの辺が斜辺かを色分けして確認します。一つの図に直角三角形が複数ある場合は、先に求める三角形へ番号を付けると式を混ぜません。 補助線で作った長さが次の三角形の辺になる流れを、矢印で追います。 直角の印がある三角形だけを囲む,斜辺をcと図へ直接書く,求めた補助線の長さに単位を付ける,二段階の計算では前段の答えを代入する前に見直す
12.三平方数は比としても使える
3:4:5の組は、3cm・4cm・5cmだけでなく、6cm・8cm・10cmのような同じ倍率でも成り立ちます。辺の一つが分数や根号を含む場合でも、比を意識すると答えのおよその大きさを予想できます。入試では直角を判定するためにも使うため、最長辺が5の側に対応していることを確認します。 暗記した比に当てはめる前に、三辺の比が本当にそろっているか割り算で確かめます。 3:4:5、5:12:13、8:15:17を基本として覚える,倍率が同じか各辺を同じ数で割って確認する,最長辺が斜辺に対応するか確認する,比が合わなければ必ず定理で計算する
13.この章の確認演習
三平方の定理の演習では、式を書く前に直角の印、斜辺、直角をはさむ二辺を図に書き込む。未知の辺を求める場合は、二乗の式、移項、平方根、根号の簡単化、単位の順で一行ずつ処理する。定理の逆では三辺を小さい順に並べ、最長辺の二乗と残り二辺の平方和を同じ行に並べて比較する。立体では底面対角線と空間対角線を別図にし、二段階の直角三角形を混ぜない。
14.復習の進め方
三平方の定理の復習では、平面、座標、立体を順に扱い、同じ定理がどこで使われるかを確認する。全ての問題で斜辺にcを書き、直角の印がない図では定理を使ってよい根拠を先に探す。根号の簡単化まで含めて一題と考え、長さの単位を最後に付ける。立体問題は補助線を描く練習だけを独立して行うと効果が高い。
15.仕上げの確認
仕上げ確認では、直角三角形であること、斜辺の位置、二乗の計算、根号の簡単化、単位を確認する。逆を使う場合は最長辺をcにしたかを必ず見る。
③ 公式・用語
| 名称 | 内容 | メモ |
|---|---|---|
| 三平方の定理 | a²+b²=c² | — |
| 逆 | a²+b²=c²なら直角三角形 | — |
| 二等辺直角 | a:a:a√2 | — |
| 30°・60°・90° | 1:√3:2 | — |
| 座標の距離 | √{(x差)²+(y差)²} | — |
| 直方体の対角線 | √(a²+b²+c²) | — |
用語集
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 直角三角形 | 一つの角が90°の三角形 |
| 斜辺 | 直角の向かい側の辺 |
| 直角をはさむ辺 | 直角の両側の二辺 |
| 三平方数 | 三平方の定理を満たす整数の組 |
| 定理の逆 | 条件から直角を判定する性質 |
| 対角線 | 向かい合う頂点を結ぶ線分 |
| 空間対角線 | 立体内部を通る対角線 |
| 平方根 | 二乗すると元の数になる数 |
④ 解法・読み方の手順
辺の長さを求める
- 直角三角形か確認する
- 斜辺をcと決める
- a²+b²=c²へ代入する
- 未知数の二乗を孤立させる
- 正の平方根と単位を書く
逆で直角を判定する
- 三辺を小さい順に並べる
- 最長辺をcとする
- 小さい二辺の平方和を計算する
- c²と比較する
- 等しければ直角と結論を書く
⑤ 図解
c(斜辺)
/|
/ | b
/__|
a 直角直方体 底面対角線 d=√(a²+b²) 空間対角線=√(d²+h²)
⑥ 例題(読んで流れを追う)
ここは「解く」より「途中式と根拠を追う」ための例です。演習は問題編で。
直角をはさむ二辺が3cm、4cmのとき、斜辺を求めなさい。
考え方・途中式
c²=3²+4²=9+16=25。c=√25=5。
答え:5cm
斜辺13cm、他の一辺5cmの直角三角形の残りの辺を求めなさい。
考え方・途中式
a²=13²-5²=169-25=144。a=12。
答え:12cm
辺が6cm、8cm、10cmの三角形は直角三角形か。
考え方・途中式
最長辺10について6²+8²=36+64=100=10²。逆より直角三角形。
答え:直角三角形である
一辺が6cmの正方形の対角線を求めなさい。
考え方・途中式
対角線dはd²=6²+6²=72。d=√72=6√2。
答え:6√2cm
縦3cm、横4cm、高さ12cmの直方体の空間対角線を求めなさい。
考え方・途中式
底面対角線は√(3²+4²)=5。空間対角線は√(5²+12²)=√169=13。
答え:13cm
座標平面上のA(-1,2)、B(5,10)の距離を求めなさい。
考え方・途中式
x座標の差は5-(-1)=6、y座標の差は10-2=8である。AからBへ水平・垂直な補助線を引くと、辺が6と8の直角三角形ができる。AB²=6²+8²=36+64=100。距離は正なのでAB=10。
答え:10
⑦ 入試・テストでの使い方
外部過去問(JS88・リセマム等)の使い分けは過去問・外部資料ガイドを参照。
- 直角の印を最初に探す
- 斜辺をcと図に書く
- 二乗してから足し引きする
- 長さは正の値を選ぶ
- 立体は直角三角形を二段階で作る
- 三平方は005net「直方体の対角線」「座標上の距離」とセット。
- ⑤基本:ちびむす/手鏡 ⑥標準:005net例題 ⑦応用:JS88+本アプリ
- JS88数学過去問を50分×週1回
- 005net「入試対策数学総合」で総合力を確認
⑧ よくあるミス
- 最長辺以外をcにする:斜辺は直角の向かい
- 辺を二乗せずに足す:定理は平方の関係
- 直角でない三角形に使う:前提が必要
- √を付け忘れる:求めたのは長さの二乗
- 負の長さを答える:長さは正
- 逆で最長辺を確認しない:判定ができない
- 座標の差でなく座標を使う:辺は差
- 立体の三辺を図なしで扱う:直角関係を確認する
⑨ 理解チェック
口頭でもノートでもよいので、全部言えたら問題編へ。
- 斜辺を判定できる
- 定理の前提を言える
- 斜辺を求める
- 他の辺を求める
- 根号を簡単にする
- 逆を使う
- 3:4:5を使う
- 正方形の対角線を求める
- 座標の距離を求める
- 空間対角線を求める