数学 第4章
相似
要点編
相似な図形の性質と証明
ここは参考書パート(要点編)です。市販参考書と同じく「読んで理解 → 例題で流れを追う → チェック」の順で進めてください。理解チェックができたら問題編へ。
① この章のねらい
相似は、形が同じで大きさだけが異なる図形を扱う単元です。対応する角と辺を正しく決めることが、長さ・面積・証明の全ての出発点です。相似比は長さの比、面積比はその二乗であることを区別します。図の向きではなく角の対応で判断します。
- 相似の意味を説明する
- 三角形の相似条件を使う
- 対応順をそろえる
- 相似比で長さを求める
- 平行線と相似を結び付ける
- 面積比を求める
- 相似を用いて証明する
② 重要ポイント(本文)
1.相似は角と辺の二つの条件
相似な図形では対応する角が全て等しく、対応する辺の比が全て等しいです。 見た目が似ていても、この二つを確かめなければ相似とは言えません。 記号△ABC∽△DEFは頂点の対応も表します。
2.二組の角で相似を示す
二組の角がそれぞれ等しければ、三角形は相似です。 平行線の錯角や同位角、共通角を根拠にすることが多いです。 残りの一角を計算する必要はありません。
3.辺とその間の角を使う
二組の辺の比が等しく、その間の角が等しければ相似です。 等しい角が二辺の間にあるかを図で確かめます。 合同条件と混同して辺の長さを等しいとしません。
4.三組の辺の比をそろえる
三組の対応辺の比が全て等しければ相似です。 比は同じ順序で並べ、逆数を混ぜないことが大切です。 必要なら最も短い辺どうしから対応を決めます。
5.対応順は角から決める
等しい角の頂点を対応させて、記号の順をそろえます。 △ABC∽△DEFならABはDE、BCはEFに対応します。 対応が決まってから比例式を作ります。
6.相似比は一次元の量に使う
相似比m:nなら、対応辺・周の長さ・高さの比もm:nです。 一方の辺が分かれば、対応する辺との比例式で未知数を求められます。 対応しない辺を比べないよう印を付けます。
7.平行線は小三角形を作る
三角形の一辺に平行な線を引くと、元の三角形と小さい三角形が相似になります。 角の等しさは平行線の性質で説明できます。 分割された辺の比へつなげます。
8.面積比は相似比の二乗
相似比がm:nなら面積比はm²:n²です。 縦も横もm:n倍になるため、面積では倍率が二回掛かります。 相似比2:3なら面積比は4:9です。
9.体積比は三乗だが中学では注意
相似な立体では体積比が相似比の三乗になります。 平面図形の面積比と混同しないよう、扱う量の次元を意識します。 問題で立体を扱うときだけ使います。
10.証明は相似を先に確定する
証明では相似条件を満たす角・辺を順に示してから結論を出します。 相似だから対応する辺の比が等しい、という順序を逆にしません。 根拠のない図の見た目は使いません。
11.対応を矢印で固定する
相似の計算で最も多い誤りは、対応する辺を途中で入れ替えることです。相似を示した直後にA→D、B→Eのように頂点の対応を図へ矢印で書き、対応辺を同じ色や印で結びます。比例式はこの対応表を見ながら作ると、図が回転していても迷いません。 辺の長さだけでなく、向かい合う角や高さの対応も同じ順序で考えます。 相似記号の左から右へ頂点に矢印を書く,対応辺を二本ずつ図で結んでから比を書く,比例式の分子・分母の順序を最後まで固定する,図を回転させても対応が変わらないことを確認する
12.相似の証明を比の利用へつなぐ
証明問題では「相似である」ことがゴールではなく、その後に対応する角や辺の比を使うための根拠になります。まず平行線や共通角から相似条件を満たすことを示し、相似であると結論を書きます。その後で初めて、対応辺の比や対応角の等しさを使って求める量へ進みます。 この順序を守ると、結論を先取りする論理の飛躍を防げます。 仮定から得られる角に根拠を書く,相似条件を一文で明記する,相似記号は対応順をそろえて書く,相似の後に使う性質を「よって」で続ける
13.この章の確認演習
相似の練習では、最初の三十秒を対応決めに使う。等しい角へ同じ印を付け、頂点の対応を矢印で書いてから、相似条件、相似記号、比例式の順で答案を組み立てる。面積比は相似比を二乗する理由を、縦と横の両方が同じ倍率になる図で説明できるようにする。証明問題では、平行線から得る角の根拠を書き、相似確定後に初めて対応辺の比を用いる順序を崩さない。
14.復習の進め方
相似の復習では、一問につき対応を決める時間を省略しない。図を写して頂点へ対応矢印を書き、相似条件、比、面積比の順に問題を解くと、比例式だけを機械的に立てる誤りが減る。証明問題は、根拠となる角を一組ずつ色分けし、相似確定の文を自力で書き直す。面積問題は相似比を二乗する理由を図で説明する。
15.仕上げの確認
仕上げ確認では、頂点の対応順、相似条件、比例式の向き、面積比の二乗を確認する。比の答えは最も簡単な整数比になっているかも点検する。
③ 公式・用語
| 名称 | 内容 | メモ |
|---|---|---|
| 相似の記号 | △ABC∽△DEF | — |
| 対応辺の比 | AB/DE=BC/EF=CA/FD | — |
| 二角相等 | 二組の角がそれぞれ等しい | — |
| 面積比 | 相似比m:n → m²:n² | — |
| 体積比 | 相似比m:n → m³:n³ | — |
用語集
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 相似 | 形が同じ図形の関係 |
| 相似比 | 対応する長さの比 |
| 対応する辺 | 同じ位置の辺 |
| 対応する角 | 同じ位置の角 |
| 二角相等 | 二組の角が等しい相似条件 |
| 平行線 | 交わらない二直線 |
| 面積比 | 二図形の面積の比 |
| 相似な立体 | 対応する長さの比が等しい立体 |
④ 解法・読み方の手順
相似を見つける手順
- 等しい角に印を付ける
- 対応する頂点を決める
- 相似条件を選ぶ
- 記号を対応順に書く
- 対応辺だけで比例式を作る
面積比問題
- 二図形が相似か確認する
- 相似比を最も簡単な比にする
- 各数を二乗する
- 求める面積へ比例で戻す
⑤ 図解
△ABC ∽ △DEF A↔D B↔E C↔F AB:DE=BC:EF
大 △ABC ──DE//BC── 小 △ADE ∽ △ABC
⑥ 例題(読んで流れを追う)
ここは「解く」より「途中式と根拠を追う」ための例です。演習は問題編で。
相似比が3:5の図形で、短い方の対応辺が12cmである。長い方を求めなさい。
考え方・途中式
12:x=3:5。3x=60よりx=20。対応辺どうしで比例式を作る。
答え:20cm
相似比2:3の二つの三角形の面積比を求めなさい。
考え方・途中式
面積比は相似比の二乗。2²:3²=4:9。
答え:4:9
△ABC∽△DEFでAB=6, DE=9, BC=8のときEFを求めなさい。
考え方・途中式
AB:DE=BC:EFより6:9=8:x。6x=72、x=12。
答え:12
△ABCでDE//BC、AD=4, DB=2, AE=6のときACを求めなさい。
考え方・途中式
△ADE∽△ABC。AD:AB=AE:AC、4:6=6:x。4x=36よりx=9。
答え:9
相似比3:4の二つの三角形で、大きい方の面積が64cm²である。小さい方の面積を求めなさい。
考え方・途中式
面積比は9:16。小:大=9:16だから小=64×9/16=36。
答え:36cm²
△ABC∽△DEFで、相似比が2:3、△ABCの面積が24cm²である。△DEFの面積を求めなさい。
考え方・途中式
対応する長さの比は2:3なので、面積比は2²:3²=4:9である。小さい△ABCの24cm²が4に対応する。大きい面積をxとすると24:x=4:9。4x=216よりx=54である。
答え:54cm²
⑦ 入試・テストでの使い方
外部過去問(JS88・リセマム等)の使い分けは過去問・外部資料ガイドを参照。
- 対応頂点は角から決める
- 相似の記号の順序をそろえる
- 比例式は対応辺だけで作る
- 面積比は必ず二乗する
- 証明は相似条件を明記する
- 相似はJS88数学の図形大問→005net「グラフと四角形」→本アプリ⑦。
- ⑤基本:ちびむす/手鏡 ⑥標準:005net例題 ⑦応用:JS88+本アプリ
- JS88数学過去問を50分×週1回
- 005net「入試対策数学総合」で総合力を確認
⑧ よくあるミス
- 図の向きだけで対応を決める:回転していても対応は変わらない
- 角一組だけで相似とする:条件が不足
- 合同と同じ長さとする:相似は比が等しい
- 比を途中で逆にする:順序を固定する
- 面積比を相似比と同じにする:二乗が必要
- 周の長さ比を二乗する:長さは一次元
- 平行線の根拠を書かない:角の等しさを示せない
- 相似確定前に比を使う:論理が逆
⑨ 理解チェック
口頭でもノートでもよいので、全部言えたら問題編へ。
- 相似の定義を言える
- 二角相等を使える
- 辺角辺の相似条件を使える
- 三辺比を使える
- 対応順をそろえる
- 比例式を作れる
- 平行線から相似を見つける
- 面積比を二乗する
- 立体では三乗を区別する
- 相似を用いて証明できる