数学 第1章
展開・因数分解
要点編
多項式の展開と因数分解の完全マスター
ここは参考書パート(要点編)です。市販参考書と同じく「読んで理解 → 例題で流れを追う → チェック」の順で進めてください。理解チェックができたら問題編へ。
① この章のねらい
展開は積を和へ、因数分解は和を積へ変える逆向きの操作です。公式を丸暗記するより、分配法則から形を確かめると符号を誤りません。因数分解は共通因数を最初に探し、次に公式の形を見抜きます。最後に展開して元の式へ戻す検算を習慣にします。
- 分配法則で展開する
- 3つの乗法公式を使う
- 共通因数をくくる
- 公式を用いて因数分解する
- x²+px+qを因数分解する
- 置き換えを使う
- 展開で検算する
② 重要ポイント(本文)
1.展開は掛け漏れを防ぐ操作
二つの多項式の積では、一方の各項を他方の各項に掛けます。 項が二つずつなら四つの積が出るため、矢印や縦書きで全組合せを確認します。 最後に同類項をまとめて標準形にします。
2.和の平方の中央項
(a+b)²はa²+2ab+b²です。 中央項2abはabとbaの二つが加わってできるので、係数2を忘れてはいけません。 aとbの符号を保ったまま使います。
3.差の平方の符号
(a-b)²では中央項だけが-2abになります。 最後の(-b)²は正のb²であり、最後まで負にはなりません。 括弧全体を二乗している意味を意識します。
4.平方差は交差項が消える
(a+b)(a-b)ではabと-baが打ち消し合います。 残るのはa²-b²なので、二つの平方の差を見たら逆向きにも使えます。 和と差の組になっているかを確認します。
5.共通因数を最優先する
因数分解では全項に共通する数や文字を最初にくくります。 先に公式を探すと、より簡単な積の形を見落とすことがあります。 くくった後の括弧内もさらに因数分解できるか見ます。
6.符号を含めてくくる
先頭項を正にしたいときは、-1や負の文字係数を共通因数としてくくれます。 -x²+3xは-x(x-3)とすると括弧内を見やすくできます。 展開して符号が戻るか確認します。
7.二次式は積と和を見る
x²+px+qは、積がqで和がpになる二数を探します。 qが正なら二数は同符号、qが負なら異符号です。 和の符号からどちらの符号かを決めます。
8.係数がある二次式を整理する
ax²+bx+cでは、共通因数や置き換えで公式の形に近付けます。 不用意に数を割ると整数の因数を見つけにくくなるため、まず全項の共通因数を調べます。 積に戻した後の各因数も確認します。
9.置き換えで構造を見る
x²を一つの文字Aと見れば、x⁴+5x²+6はA²+5A+6です。 複雑な文字や式でも同じ部分を一まとまりにすると、基本公式が使えます。 置き換えたものを最後に必ず戻します。
10.展開と因数分解は検算になる
因数分解の答えを展開すれば元の式に戻るはずです。 一致しなければ係数、中央項、符号のどれかが誤っています。 答え合わせ前にも自分で確かめられる強力な方法です。
11.文字を数として試して確かめる
展開公式に不安があるときは、x=2など簡単な数を代入して左右が一致するかを確かめられます。これは証明の代わりではありませんが、中央項や符号の誤りを早く発見する検算になります。文字式のままの展開と数値代入の両方で同じ値になる経験は、公式の意味を理解する助けになります。 ただし、一つの数で合っても常に正しいとは限らないので、最後は分配法則に戻って確認します。 代入する数は0、1、-1など計算しやすい値を選ぶ,分母がある式では0にしてはいけない文字がないか確認する,公式の左辺と右辺の両方に同じ値を代入する,検算の結果と式変形の根拠を混同しない
12.因数分解の答えの形を整える
因数分解は、これ以上因数分解できない積の形まで進めることが必要です。例えばx²-4を(x²-4)のままにせず、(x-2)(x+2)まで分けるかを確認します。共通因数をくくった後に公式が使える場合も多いため、一度で終わりと決めません。 定数因数の順序は変えても値は同じですが、通常は係数を前、文字を含む因数を括弧にして読みやすく書きます。 共通因数をくくった後の括弧内を再点検する,平方差や完全平方の形が残っていないか見る,因数の順序より、積の形になっているかを優先する,展開して元の多項式へ戻るかを必ず確かめる
13.この章の確認演習
公式の練習は、形を見て即答する問題と、分配法則で確かめる問題を交互に行う。例えば(x-4)²を展開したら、x=1を代入して左辺9と右辺が一致するか確かめ、中央項の符号を点検する。因数分解では共通因数、平方差、二次式、置き換えの順に分類して解き、どの判断で公式を選んだかを記録する。答えが一つの括弧で終わったときは、さらに分解できないか必ず見る。
14.復習の進め方
展開と因数分解は必ず対にして復習する。展開した式を因数分解へ戻す、因数分解した式を展開して戻す往復を一セットにすると、公式が単なる暗記ではなく逆の操作として定着する。公式問題を解いた後には、分配法則で一度検算し、どの項どうしが中央項を作ったかを確認する。時間制限を付けるのは、正確さが安定してからでよい。
15.仕上げの確認
仕上げ確認では、共通因数、公式の中央項、因数分解の完全性、展開による検算を順に見る。符号の誤りは式を声に出して読むと気付きやすい。
③ 公式・用語
| 名称 | 内容 | メモ |
|---|---|---|
| 和の平方 | (a+b)²=a²+2ab+b² | — |
| 差の平方 | (a-b)²=a²-2ab+b² | — |
| 平方差 | (a+b)(a-b)=a²-b² | — |
| 平方和型 | a²+2ab+b²=(a+b)² | — |
| 二次式 | x²+(p+q)x+pq=(x+p)(x+q) | — |
用語集
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 展開 | 積を和の形にすること |
| 因数分解 | 和を積の形にすること |
| 分配法則 | 括弧内の各項へ掛ける規則 |
| 共通因数 | 全項に共通する因数 |
| 乗法公式 | 頻出の積を表す公式 |
| 平方差 | 二つの平方の差 |
| 標準形 | 次数の高い順に並べた式 |
| 置き換え | 同じ式を一文字とみなすこと |
④ 解法・読み方の手順
因数分解の判定順
- 全項の共通因数をくくる
- 項数と符号を確認する
- 乗法公式の形を探す
- 二次式なら積と和を調べる
- 展開して検算する
展開を正確にする
- 各項の組合せに印を付ける
- 係数と文字を別々に掛ける
- 符号を含めて書く
- 同類項をまとめる
⑤ 図解
(a+b)²=(a+b)(a+b) =a²+ab+ab+b²
a²-b² =(a+b)(a-b) 交差項 ab-ba=0
⑥ 例題(読んで流れを追う)
ここは「解く」より「途中式と根拠を追う」ための例です。演習は問題編で。
(x+3)(x+5)を展開しなさい。
考え方・途中式
x²+5x+3x+15=x²+8x+15。四つの積を全て書く。
答え:x²+8x+15
(2x-3)²を展開しなさい。
考え方・途中式
(2x)²-2×2x×3+3²=4x²-12x+9。中央項の符号は負。
答え:4x²-12x+9
6x²-15xを因数分解しなさい。
考え方・途中式
6x²と-15xの共通因数は3x。3x(2x-5)とくくる。
答え:3x(2x-5)
x²-x-12を因数分解しなさい。
考え方・途中式
積が-12、和が-1となるのは-4と3。よって(x-4)(x+3)。
答え:(x-4)(x+3)
x⁴-5x²+4を因数分解しなさい。
考え方・途中式
A=x²と置くとA²-5A+4=(A-1)(A-4)。Aを戻し、平方差を使う。
答え:(x²-1)(x²-4)=(x-1)(x+1)(x-2)(x+2)
(x+2)(x-2)-(x-1)²を計算しなさい。
考え方・途中式
(x+2)(x-2)=x²-4であり、平方差を用いる。(x-1)²=x²-2x+1。したがってx²-4-(x²-2x+1)=x²-4-x²+2x-1=-2x+3。後ろの括弧全体に負号を掛けることが重要である。
答え:-2x+3
⑦ 入試・テストでの使い方
外部過去問(JS88・リセマム等)の使い分けは過去問・外部資料ガイドを参照。
- 公式のaとbを式のどの部分に対応させたか書く
- 因数分解は共通因数から始める
- 負の共通因数で括弧内を見やすくする
- 答案では途中の因数分解を省かない
- 検算は展開して行う
- 展開・因数分解の計算速度は数学の手鏡 or 005net例題で毎日10問。
- ⑤基本:ちびむす/手鏡 ⑥標準:005net例題 ⑦応用:JS88+本アプリ
- JS88数学過去問を50分×週1回
- 005net「入試対策数学総合」で総合力を確認
⑧ よくあるミス
- (a-b)²の最後を-b²にする:二乗なので正
- 2abを忘れる:交差項は二つある
- 共通因数をくくらない:完全な因数分解でない
- 積だけ見て和を見ない:中央項が合わない
- 係数を片方にしか掛けない:分配法則違反
- 置き換えを戻さない:元の文字の答えでない
- 因数分解後に加法のまま書く:積の形にする
- 検算しない:符号ミスを見逃す
⑨ 理解チェック
口頭でもノートでもよいので、全部言えたら問題編へ。
- 全ての項へ分配できる
- 和と差の平方を区別できる
- 平方差を使える
- 共通因数を探せる
- 負の因数をくくれる
- 積と和から二数を探せる
- 置き換えができる
- 完全に因数分解できる
- 展開で検算できる
- 符号を確認できる