国語 第3章
古文・和歌
要点編
【既習/完成/最低25問】古文・和歌の読解。
① この章のねらい
古文は、現代語と異なる語彙、助動詞、敬語、主語の省略を補って読む。助動詞は直前の活用形から候補を絞り、文脈で意味を決める。敬語は誰が高められているかを人物関係と結び付けて考える。現代語訳では、主語・助動詞・敬意を落とさず自然な日本語にします。
- 基本古語を訳せる
- 助動詞の接続を判定できる
- 敬語の向きを示せる
- 省略主語を補える
- 係り結びを説明できる
- 活用形を答えられる
- 現代語訳ができる
② 図と説明
下の図を順に見てください。各図の下に、その図の読み方を書いてあります。
図 1. 古文読解の手順

主語→意味→現代語訳。図では、矢印の始点と終点、色分け、並び順を順に追い、本文のどの判断に対応するか確認する。
古今異義を優先して覚える
「をかし」は趣がある、「あはれなり」はしみじみと心に感じるという意味で使われます。現代語の音から意味を推測すると誤読しやすい。古語は短い例文と一緒に覚え、文脈で使えるようにします。誤概念は現代語の意味を古文にそのまま当てること。例:をかし=趣深い(滑稽ではない)。入試では古今異義語の訳択一が毎年第出します。
図 2. 助動詞のヒント

接続と意味で読む。図では、矢印の始点と終点、色分け、並び順を順に追い、本文のどの判断に対応するか確認する。
主語は人物関係から補う
古文では主語が繰り返し省略されます。会話の発言者、敬語の対象、前文で動作した人物を手がかりにします。訳す前に人物名を補っておくと、動作の取り違えを防げる。誤概念は主語が省略されている文を主語なしのまま訳すこと。例:敬語の向きと前後の人物から補う。入試の現代語訳は主語補充が採点対象になります。
図 3. 敬語の方向

誰が誰を立てているか。図では、矢印の始点と終点、色分け、並び順を順に追い、本文のどの判断に対応するか確認する。
助動詞は接続から判定する
助動詞の前にある語が未然形か連用形かを調べる。たとえば「ず」は未然形に付き、打消を表す。形だけで意味を決めず、接続と文脈の両方を使う。誤概念は意味だけで助動詞を決め、接続を見ないこと。例:ずは未然形接続の打消。入試では活用と接続のセットが文法問題の中心です。意味暗記だけでは活用問題に弱い。
図 4. 係り結び

結びの活用に注意。図では、矢印の始点と終点、色分け、並び順を順に追い、本文のどの判断に対応するか確認する。
打消のずを読む
「行かず」の「ず」は、動詞「行く」の未然形「行か」に接続する打消の助動詞です。現代語では「行かない」と訳す。「ず」の後に連体形などが続く場合も、打消という中心の意味を保つ。誤概念はずを現代の「ず」感嘆や別語と混同すること。例:行かず=行かない。入試では打消の位置まで含めた訳が求められます。
③ 続きの説明
5. きとけりを区別する
「き」は自分が直接経験した過去を表すのが基本です。「けり」は過去のほか、目の前で気づいた驚きや詠嘆を表すことがあります。場面で「〜た」とするか「〜たのだなあ」とするかを決める。誤概念は過去の助動詞をすべて「た」と一括すること。例:き=直接経験的過去、けり=伝聞・詠嘆。入試ではけりの詠嘆用法が選択肢に出る。
6. むは文脈で意味が変わる
「む」は未然形に接続し、推量・意志・勧誘・仮定などを表す。主語が一人称なら意志、疑問語を伴えば推量など、文の形を手がかりにします。「行かむ」をいつも「行くだろう」と訳さない。誤概念はむを常に推量だけとすること。例:意志・適当・勧誘なども文脈で取る。入試ではむの意味判別が文法の頻出です。
7. る・らるは主語を見る
「る」「らる」は受身・可能・自発・尊敬の四つの意味を持つ。高い身分の人が主語なら尊敬、気持ちや思いが自然に起こるなら自発が候補になります。直前の語が未然形かどうかも必ず確認します。誤概念はる・らるを常に受身とすること。例:尊敬・可能・自発は主語と文脈で分ける。入試では四択の意味判別が定番です。
8. 尊敬語は動作主を高める
「おはす」「のたまふ」「給ふ」は、身分の高い人の動作に用いる尊敬語です。誰がその動作をするかを探し、その人物へ敬意が向くと考える。帝が「のたまふ」なら、帝が話すことを高めています。誤概念は丁寧語と尊敬語を同じ敬意とすること。例:たまふは動作主を高める。入試では誰を高めるかの方向が問われます。
9. 謙譲語は相手を高める
「参る」「申す」「奉る」は、自分側の動作を低く述べて相手を高める表現です。動作主ではなく、行為の向かう相手を確認します。「先生に申し上げる」では先生が高められます。誤概念は謙譲語を自分を高くする語とすること。例:申すは自分の動作を低くし相手を高める。入試では尊敬・謙譲の取り違えが最多誤答です。
10. 係り結びを見抜く
「ぞ・なむ・や・か」があると文末は連体形、「こそ」があると已然形になります。係助詞を見つけたら、結びの語の活用形に線を引く。強調や疑問・反語の意味を訳に反映します。誤概念はこそ・ぞなどの係助詞を無視して訳すこと。例:こそ→已然形で結ぶ。入試では結びの活用形を答えさせる問題が頻出します。結びの活用形までセットで覚える。
11. 助詞の働きを文脈で取る
「ば」は未然形に付けば仮定、已然形に付けば確定した原因・理由を表す。「を」「に」も現代語と異なる接続助詞・格助詞の働きをすることがあります。前後の動作の関係を現代語に直して判断します。誤概念は助詞を一訳で固定すること。例:に=場所・対象・時間など文脈依存。入試の現代語訳では助詞の訳し分けが差になります。
12. 現代語訳は情報を落とさない
訳では、省略された人物、助動詞の時制・推量、敬語の意味を補う。語順をそのまま移すより、主語と述語が通る自然な文にします。「誰が」「誰に」「どうした」を確認してから書く。誤概念は単語置換だけで訳を終えること。例:敬語・助動詞・主語を残して自然な日本語へ整える。入試では情報の欠落と敬意の平板化が減点されます。
13. 形容詞・形容動詞の活用を使う
助動詞の接続では、動詞だけでなく形容詞・形容動詞の活用形も問われます。「美しく」のような連用形、「静かなら」のような未然形を基本形に戻して確かめる。語尾の一部だけを見ず、どの語が後ろに続くかを確認します。現代語訳で意味が通るかも、活用を見分ける補助になります。活用表を暗記したら短い本文で実際に印を付ける。
14. 会話文では敬意の方向が変わる
古文の会話では、話す人と聞く人が入れ替わるたびに敬語の向きも変わる。尊敬語があるからといって、常に同じ人物が高められるわけではない。引用符がない文章では、発言内容と「と申す」などの表現から話者を特定します。人物ごとに記号を決め、敬意の矢印を書き込むと混乱を防げる。訳文には必要に応じて「お〜になる」「申し上げる」を補う。
15. 係り結びを見つける
「ぞ・なむ・や・か」は連体形、「こそ」は已然形で結ぶ。結びの活用形が普通と違うときは、係助詞を探して意味を確かめる。強調や疑問のニュアンスが文の焦点になります。現代語訳では、強調を「〜のだ」「〜こそ」などで適切に反映します。係り結びを見落とすと、文末の形を誤訳しやすい。誤概念は結びの活用を現代語の終止形感覚で読むこと。例:こそ→已然形なれ。入試の古文文法では係り結びの指摘が頻出します。
16. 助動詞は重ねて読む
「けり」「たり」「む」「べし」「ず」などは、前後の語と結びついて時・推量・打消などを表す。一つの文に複数あるときは、後ろから順に意味を積み重ねる。同じ助動詞でも文脈で意味が分かれるため、辞書の第一義だけで決めない。訳は「〜したそうだ」のように自然な現代語にします。設問では、助動詞が示す話者の判断を問うことが多い。
17. 和歌の掛詞と序詞
和歌では音の響きを利用した掛詞や、ある語を導く序詞が使われます。字面だけを現代語に直すと、二重の意味を落とす。季節語や景物は、心情の比喩としても働く。現代語訳では、掛詞の二つの意味のうち文脈に必要な方を優先し、必要なら両方示す。設問が技法名を問うときは、効果まで一文で添える。誤概念は和歌を現代語の直訳だけで終わらせること。例:掛詞は二つの意味、序詞は導入の修飾。入試では技巧の説明が得点源になります。
18. 敬語の方向を矢印にする
尊敬語は動作をする人を高くし、謙譲語は動作を受ける人を高くします。丁寧語は聞き手への丁寧さを示す。誰が誰に対して敬っているかを矢印で書くと、主語の補いが正確になります。同じ動詞でも敬語の有無で人物関係が変わる。現代語訳では、敬意の方向を残し過ぎず、関係が分かる程度に訳す。誤概念は敬語があれば丁寧だと一括すること。例:動作主→高められる相手へ矢印をかく。入試の古文・現代文とも敬語の方向判別が出る。
受験で押さえる(この章)
漢字は読み↔字↔意味、同音は場面で切る。古典は接続→意味の順。暗記リストを眺めるだけで終わらせない。
覚え方助動詞は接続から入る
意味暗記だけで決めない。左の助動詞について、右で「接続→意味→現代語」の対応を声に出す。
必暗基本古語
左の古語を右の現代語に直す。直せてから品詞を確認する。
戦い方国語の戦い方
漢字・語句を先に片付け、読解は設問の問い方を先に確定する。
- 手順漢字・語句を先に片付け、失点を止める
- 手順読解は設問の問い方(なぜ/どういうこと)を先に確定してから本文へ
- 手順記述は字数と「誰の/何について」を先に枠取りし、本文の語句で埋める
- 手順見直しは漢字の同音異義と、記述の条件漏れだけに絞る
- 手順毎日15分:学習中の単元の「受験で押さえる」を音読+書き
- 手順毎日30〜50分:弱点単元の⑤⑥または⑦を1セット
- 手順近い用語・近い年代・近い数値の取り違え
- 手順問題文の一部だけ合っていて結論がずれる選択肢
⑤ 公式・用語
| 名称 | 内容 | メモ |
|---|---|---|
| 打消 | 未然形 + ず | 行かず=行かない。 |
| 過去 | 連用形 + き/けり | けりは詠嘆も表す。 |
| 推量等 | 未然形 + む | 推量・意志・勧誘など。 |
| 係り結び | ぞ・なむ・や・か+連体形/こそ+已然形 | 結びの活用形を見る。 |
用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| をかし | 趣がある・おもしろい |
| あはれなり | しみじみと心に感じる |
| いみじ | たいそう |
| なほ | やはり・さらに |
| 尊敬語 | 動作主を高める敬語 |
| 謙譲語 | 相手を高める敬語 |
| 丁寧語 | 聞き手に敬意を示す敬語 |
| 係り結び | 係助詞により結びが変化すること |
⑥ 手順
古文読解
- 人物を記号化する
- 助動詞と敬語に印を付ける
- 主語を補って訳す
助動詞判定
- 直前の活用形を調べる
- 候補を出す
- 主語と文脈で意味を決める
章末の定着確認
- この章の重要語を三つ声に出す。
- 例題のうち一題を、答えを見ずに根拠から再現します。
- 誤答しやすいポイントを一つノートに残す。
⑦ 例題
途中の考え方を追うための例です。演習は問題編で行います。
「花咲かず」を現代語訳しなさい。
考え方
「咲か」は「咲く」の未然形で、「ず」は打消です。省略された主語の花を補い、「〜ない」と訳す。①まず設問が何を問うかと条件語に印を付けます。②次に文・本文・語形のどこが答えの根拠かを対応させ、途中の判断を一つずつ説明します。③最後に主語、時制、条件、因果関係が問題文と矛盾しないかを検算し、似た選択肢を除いて答えを確定します。
答え:花が咲かない。
「をかし」の意味を答えなさい。
考え方
現代語の「おかしい」に限定しない。美しさや興趣を感じる場面の基本古語として覚える。①まず設問が何を問うかと条件語に印を付けます。②次に文・本文・語形のどこが答えの根拠かを対応させ、途中の判断を一つずつ説明します。③最後に主語、時制、条件、因果関係が問題文と矛盾しないかを検算し、似た選択肢を除いて答えを確定します。
答え:趣がある・おもしろい。
「月出でけり」を訳し、けりの意味を答えなさい。
考え方
「出で」は連用形で、けりが接続します。目の前で月が出たことに気づく文脈なら詠嘆を添える。①まず設問が何を問うかと条件語に印を付けます。②次に文・本文・語形のどこが答えの根拠かを対応させ、途中の判断を一つずつ説明します。③最後に主語、時制、条件、因果関係が問題文と矛盾しないかを検算し、似た選択肢を除いて答えを確定します。
答え:月が出たのだなあ。過去・詠嘆。
「帝、のたまふ」の敬語の種類と対象を答えなさい。
考え方
のたまふは「言ふ」の尊敬語です。動作主の帝に敬意が向く。①まず設問が何を問うかと条件語に印を付けます。②次に文・本文・語形のどこが答えの根拠かを対応させ、途中の判断を一つずつ説明します。③最後に主語、時制、条件、因果関係が問題文と矛盾しないかを検算し、似た選択肢を除いて答えを確定します。
答え:尊敬語。帝を高めています。
「春こそ来にけれ」の係り結びを説明しなさい。
考え方
こそは已然形で結ぶ係助詞です。「けれ」は助動詞けりの已然形で、春が来たことを強調します。①まず設問が何を問うかと条件語に印を付けます。②次に文・本文・語形のどこが答えの根拠かを対応させ、途中の判断を一つずつ説明します。③最後に主語、時制、条件、因果関係が問題文と矛盾しないかを検算し、似た選択肢を除いて答えを確定します。
答え:係助詞「こそ」により、結びの「けれ」が已然形になっています。
⑧ 入試での使われ方
- 古語を現代語の印象で訳さない
- 助動詞は接続から見る
- 敬語は人物図で確認する
- 係助詞を丸で囲む
- 訳に主語を補う
- 設問の問い方(なぜ/どういうこと/効果)を先に確定してから本文へ戻る。
- ⑤基本:暗記パック漢字・語句 ⑥標準:リセマムB読解+言語事項 ⑦応用:本アプリ記述(C帯の字数・根拠密度)
- 本アプリ /exam-ready の漢字・慣用・四字を先に固めて失点を減らす
⑨ よくある誤り
- ずの接続を誤る
- けりを単純過去に固定する
- 敬意の対象を動作主と混同する
- 主語を勝手に決める
- 係り結びを見落とす
- 現代語訳で助動詞を落とす
- 古語を字面で訳す
- 文脈を見ない
⑩ 確認
次ができたら問題編へ進んでください。
- 基本古語を確認した
- 人物関係を整理した
- 省略主語を補った
- 助動詞の接続を見た
- 意味を文脈で決めた
- 敬語の種類を判定した
- 敬意の向きを示した
- 係り結びを確認した
- 活用形を答えた
- 自然に訳した
- 追加ポイントの内容を自分の言葉で説明できる