理科 第7章
遺伝
要点編
分離の法則・Punnett平方
ここは参考書パート(要点編)です。市販参考書と同じく「読んで理解 → 例題で流れを追う → チェック」の順で進めてください。理解チェックができたら問題編へ。
① この章のねらい
遺伝では、親から子へ形質が伝わる仕組みを遺伝子と染色体で考える。優性・劣性は価値や強さではなく、表れ方の関係を表す語である。生殖細胞ができるとき、対になった遺伝子は分かれる。組合せ表は子の形質を断定する表ではなく、確率的な割合を予測する道具である。
- 遺伝子・DNA・染色体の関係を説明できる
- 体細胞と生殖細胞を区別できる
- 優性・劣性の意味を説明できる
- 遺伝子型と表現型を区別できる
- 分離の規則を使える
- Punnett方眼で割合を求められる
② 重要ポイント(本文)
1.遺伝情報
DNAは遺伝情報を担う物質である。DNAの一部に、形質に関する情報をもつ遺伝子がある。遺伝子は染色体上に存在する。
2.染色体
体細胞では同じ形の染色体が対になっている。対になった染色体には同じ種類の遺伝子がある。生殖細胞には各対から一方ずつ入る。
3.形質
生物の形や性質を形質という。形質は遺伝子だけでなく環境の影響も受ける場合がある。単純な一遺伝子の例と、複雑な形質を混同しない。
4.対立遺伝子
同じ形質に関わり、異なる働きをする遺伝子の組を対立遺伝子という。Aとaのように同じアルファベットの大文字・小文字で表す。個体は通常二つを対でもつ。
5.優性と劣性
一方の遺伝子だけでも表現型に現れる形質を優性形質という。二つとも劣性遺伝子のときに現れる形質を劣性形質という。優性は優れた性質という意味ではない。
6.遺伝子型と表現型
AA、Aa、aaのような遺伝子の組合せを遺伝子型という。実際に現れた性質を表現型という。Aが優性ならAAとAaの表現型は同じになる。
7.分離の規則
生殖細胞ができるとき、対になった遺伝子は分かれる。Aaの個体からはAをもつ生殖細胞とaをもつ生殖細胞ができる。どちらが入るかは確率的である。
8.受精
受精では父親側と母親側の生殖細胞が一つずつ結び付く。子は再び遺伝子を対で持つ。組合せ表はこの受精の可能性を整理する。
9.組合せ表
Punnett方眼では一方の親の生殖細胞を縦、他方を横に置く。交点に子の遺伝子型を書く。各マスは同じ確率として扱う。
10.確率の解釈
Aa×Aaでaaが出る確率は1/4である。これは多数の子で期待される割合であり、四人の子に必ず一人現れる意味ではない。個々の受精は独立した事象である。
11.減数分裂
生殖細胞ができる過程では、染色体数が半分になる減数分裂が起こる。これにより受精後に染色体数が倍増し続けることを防ぐ。対になった染色体が分かれることが、遺伝子の分離の規則と結び付く。体細胞分裂と目的・結果を比較して整理する。
12.変異と多様性
遺伝子の組合せやDNAの変化によって、親子や個体間に違いが生じることがある。変異は生物の多様性の一因である。環境による違いと遺伝による違いを、観察結果だけで安易に断定しない。生物の形質は複数の遺伝子や環境が関わる場合も多い。
13.メンデルの実験
メンデルはエンドウを用い、対になる形質に注目して実験した。親の形質だけでなく子や孫の世代の数を数えたことが重要である。得られた比から、遺伝子が混ざり切らず分かれて伝わると考えた。実験の条件をそろえ多数を扱う意義を学ぶ。
14.遺伝情報の利用
遺伝情報は医療、農業、個人識別などで利用されている。利用には利益がある一方、個人情報や差別につながるおそれへの配慮が必要である。科学的な可能性と社会的なルールを分けて考える。遺伝だけで個人の能力や価値を決め付けない姿勢が重要である。
③ 公式・用語
| 名称 | 内容 | メモ |
|---|---|---|
| Aa×Aaの遺伝子型比 | AA : Aa : aa = 1 : 2 : 1 | — |
| Aa×Aaの表現型比 | 優性 : 劣性 = 3 : 1 | — |
| 劣性形質の確率 | aaのマス数 ÷ 全マス数 | — |
| 生殖細胞 | 対の遺伝子から一方ずつ入る | — |
用語集
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| DNA | 遺伝情報を担う物質。 |
| 遺伝子 | 形質に関わるDNAの一部。 |
| 染色体 | DNAがまとまった構造。 |
| 体細胞 | からだをつくる細胞。 |
| 生殖細胞 | 精子・卵など、受精に関わる細胞。 |
| 対立遺伝子 | 同じ形質に関わる一対の遺伝子。 |
| 遺伝子型 | 遺伝子の組合せ。 |
| 表現型 | 実際に現れる形質。 |
| 遺伝子型 | 遺伝子の組合せ。 |
| 表現型 | 実際に現れる形質。 |
④ 解法・読み方の手順
組合せ表の手順
- 親の遺伝子型を確定する。
- 各親がつくる生殖細胞を書く。
- 縦横の交点を埋め、型と形質を分けて数える。
遺伝の記述手順
- 優性遺伝子を大文字で定める。
- 親・生殖細胞・子の順に書く。
- 確率が多数の場合の傾向であると明記する。
記述問題の手順
- 問われた語を丸で囲む。
- 観察事実、原理、結論の順に根拠をつなぐ。
- 単位・向き・条件を見直してから書く。
⑤ 図解
Aaの個体:生殖細胞は A と a 対になった遺伝子が分かれる。
A a A AA Aa a Aa aa Aa×Aaではaaは4マス中1マス。
⑥ 例題(読んで流れを追う)
ここは「解く」より「途中式と根拠を追う」ための例です。演習は問題編で。
Aが優性のとき、Aaの表現型は何か。
考え方・途中式
優性遺伝子Aを一つもつAaでは、優性形質が現れる。
答え:優性形質
Aaの個体がつくる生殖細胞の遺伝子を答えなさい。
考え方・途中式
分離の規則により対の遺伝子Aとaが分かれる。
答え:Aとa
AA×aaでできる子の遺伝子型を答えなさい。
考え方・途中式
AAの生殖細胞はAだけ、aaの生殖細胞はaだけ。A+a=Aa。
答え:すべてAa
Aa×Aaでaaとなる確率を求めなさい。
考え方・途中式
方眼のAA、Aa、Aa、aaの4マス中、aaは1マス。1÷4=1/4。
答え:1/4
Aa×Aaで優性形質となる確率を求めなさい。
考え方・途中式
優性形質はAAが1マス、Aaが2マスで計3マス。3÷4=3/4。
答え:3/4
この章の実験・計算で、答えだけでなく途中の根拠を書く必要がある理由を答えなさい。
考え方・途中式
条件を確認→使う法則を式または文で書く→数値を代入→単位付きの結論、の順に残す。
答え:用いた法則、条件、単位が正しいことを示し、計算や考察を検証できるようにするため。
⑦ 入試・テストでの使い方
外部過去問(JS88・リセマム等)の使い分けは過去問・外部資料ガイドを参照。
- 問題文でどちらが優性かを必ず確認する。
- 遺伝子型と表現型を別の欄に整理する。
- 組合せ表は生殖細胞から書き始める。
- 比と確率を混同せず分数にも直す。
- 確率は個々の子を断定しないと理解する。
- 複数の資料は、同じ条件で比較できるかを確認してから根拠にする。
- 記述では結論だけでなく、現象を説明する語句を一つ以上入れる。
- science005net「遺伝」基本→標準→本アプリ⑦。
- ⑤基本:005net基本問題 ⑥標準:005net標準 ⑦応用:JS88+本アプリ
- 理科の学習(005net)で基本→標準を章ごとに
⑧ よくあるミス
- 優性を強い・良い意味とする。
- Aaを劣性形質とする。
- AAとAaを別の表現型とする。
- 生殖細胞にAとaを同時に入れる。
- 組合せ表の親を取り違える。
- 遺伝子型比を表現型比として答える。
- 3:1を四人の子の確定人数とする。
- DNAと染色体を同じ語として扱う。
- 実験で変えた条件と、そろえた条件を混同する。
- 数値の計算結果に単位や有効な条件を書かない。
⑨ 理解チェック
口頭でもノートでもよいので、全部言えたら問題編へ。
- DNA・遺伝子・染色体を説明できる
- 体細胞と生殖細胞を区別できる
- 対立遺伝子を言える
- 優性・劣性を説明できる
- 遺伝子型を読める
- 表現型を判断できる
- 分離の規則を言える
- Aaの生殖細胞を書ける
- Punnett方眼を作れる
- 確率の意味を説明できる
- 実験の対照を説明できる
- 計算の式・代入・単位を順に書ける