問題編

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国語 第2章

小説

問題編

オリジナル短編の心情・情景読解

問題編 — 手を動かして記録を残す。まだ不安なら先に要点編で復習。

① 導入

小説は心情の変化情景・行動・台詞の対応を読む。抽象的な用語だけでは点が取れない。

② 基本概念

  • 心情は「言ったこと・したこと・見た景色」から推定する
  • 一人称は情報に偏りがある
  • 比喩・反復は強調の合図

③ 図解

きっかけ → 揺らぎ → 決断/受容 → 余韻
(心情は段階で変わる)

④ 例題

【本文】

放課後の廊下は、部活の足音でざわついていた。優人は掲示板の前で足を止めた。 「補習日程」の紙の端が、風で小さくめくれていた。 彼はそれを見ないふりをして、靴箱へ向かった。けれども、靴を履き替える指先はいつもより遅かった。 ——本当は、見たくなかったのだ。紙に書かれた自分の名前まで、風にめくれて現れそうな気がした。

例1

優人の心情として最も適当なもの

例2

「見ないふりをして」から読み取れることを書け。

認めたくない・避けたい

例3

情景「紙の端が風でめくれる」描写の効果

⑤ 基本問題

【本文】続き

家に帰ると、母が「今日はどうだった?」と聞いた。優人は「普通」とだけ答えた。 夕飯の湯気が、二人の間で白く揺れていた。母はそれ以上聞かず、箸を進めた。 夜、優人は机に向かった。開いたノートの最初のページは白く、鉛筆を持つ手は一度止まった。 それでも余白に、小さな字で「逃げない」と書いた。書いた瞬間、肩の力が少し抜けた気がした。

1

母の態度から読み取れるもの

2

「湯気が二人の間で揺れていた」の効果を説明せよ。

会話が続かない距離感・曖昧さ

3

「逃げない」と書いた優人の心情の変化を、前半と比較して述べよ。

回避→向き合おうとする決意

4

この場面の視点はどれか

5

「肩の力が抜けた」は何を示すか。一言で。

⑥ 標準問題

9

この短編全体の主題を四十字以内でまとめよ。

逃げたい気持ちと向き合う決意

10

心情が最も大きく変わったきっかけはどこか。本文の出来事で答えよ。

11

もし一人称(僕)で書き換えたら、どんな情報が減りやすいか。

母の内面など他者の心

12

表現技法:余白に小さく書く行為の効果

⑦ 応用・入試形式

【本文(前掲・全文)】

放課後の廊下は、部活の足音でざわついていた。優人は掲示板の前で足を止めた。 「補習日程」の紙の端が、風で小さくめくれていた。 彼はそれを見ないふりをして、靴箱へ向かった。けれども、靴を履き替える指先はいつもより遅かった。 ——本当は、見たくなかったのだ。紙に書かれた自分の名前まで、風にめくれて現れそうな気がした。 家に帰ると、母が「今日はどうだった?」と聞いた。優人は「普通」とだけ答えた。 夕飯の湯気が、二人の間で白く揺れていた。母はそれ以上聞かず、箸を進めた。 夜、優人は机に向かった。開いたノートの最初のページは白く、鉛筆を持つ手は一度止まった。 それでも余白に、小さな字で「逃げない」と書いた。書いた瞬間、肩の力が少し抜けた気がした。

15

「普通」という返事の含みを、本文全体から推定して述べよ。

本当のことは言えない/話したくない

16

この作品で「風」「湯気」などの描写が果たす役割を、心情と結びつけて論ぜよ(八十字程度)。

不安定さ・距離感の可視化

17

結末を「逃げない」で閉じた効果を述べよ。

変化の提示と余韻

【本文E】(別の短編・入試形式)

夏の県大会、四百メートル走の決勝。号砲が鳴った瞬間から、瑞希はただ前だけを見ていた。 海面のように波立つ声援の中で、ゴールテープの手前で少しだけ足を緩めた。二着でも構わない、と決めていたはずだった。 夏休みの間、毎朝五時に起きて走り込みを続けたが、タイムが伸びない日々に心が折れそうになったことも一度ではなかった。 だから今日は、無理に一位を狙わず、自分の走りを出し切れば十分だと自分に言い聞かせていた。 だが背中を追い越されそうな気配を感じた瞬間、体は勝手に前へ倒れ込んでいた。 まるで自分の中の何かが、諦めていた気持ちを裏切るように動いた。 テープを切った瞬間、歓声は波のように押し寄せ、体はその波にさらわれて力が抜けた。 悔しさと嬉しさが同時に押し寄せてくるのを、瑞希はどう受け止めればいいのか分からなかった。 昨日までの自分なら、勝っただけで単純に喜べたはずだ。けれど今は、全力を出し切れなかった悔しさが、 勝利の喜びと同じ大きさで胸を占めていた。コーチの「よく走ったな」という声も、今はどこか遠くに聞こえた。 顔を上げると、応援席の友人たちが波のように手を振っていた。 瑞希は小さく手を振り返しながら、この波がいつ引くのか、まだ分からないと思った。

18

本文Eで、ゴールした瑞希が同時に抱いている、相反する二つの感情は何か。本文中の言葉を用いて答えよ。

19

本文Eでは「波」という語が、声援・歓声・友人の様子など複数の文にわたって繰り返し使われている。 この比喩が文章全体でどのような効果を持っているか、六十〜八十字で説明せよ。

声援・歓声・喜びと悔しさなど、瑞希を取り巻く感情や状況の大きさ・押し寄せる勢いを、一貫した「波」のイメージで結びつけて表している、という趣旨

20

この文章を「瑞希は小さく手を振り返しながら、この波がいつ引くのか、まだ分からないと思った。」という一文で 閉じている効果を、六十〜八十字で説明せよ。

悔しさと嬉しさが入り混じった気持ちがすぐには整理できないことを示し、感情の行方を読者の想像にゆだねる余韻を生んでいる、という趣旨

⑧ 確認テスト

1

確認1: 心情の手がかりになりにくいもの

2

確認2: 優人が最初に避けたもの

3

確認3: 母が「それ以上聞かなかった」理由として適切な説明

見守る・配慮

4

確認4: 主題に近いもの

5

確認5: 「肩の力が抜けた」の直前の行為

⑨ 振り返り

解説編で根拠を確認し、心情語を本文の描写に言い換える練習を繰り返そう。

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